30話 ≪自らの真意≫
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「……しょうがないなぁ」
「エーコは、あの人の事を本当に案じているのよ。それ以上でも、それ以下でもないわ」
ジタンにそれとなく諭すように言うガーネット。
「そろそろ、マゥスンの方から何か話して欲しい所だけどな………」
「どうなってる、こいつの身体……透けてきてやがるぞ」
「これは一体────マゥスンよ、目を覚ますのじゃ!」
船室のベッドに横たわらせた身体が不意に透けてゆくのをサラマンダーが気付き、フライヤは名を呼び掛けるが意識は戻らず、このままでは存在自体が消滅するのではないかと感じたサラマンダーは、咄嗟に相手の額に片手を翳して<オーラ>を施し温かな光に包まれるとマゥスンは存在を取り戻してゆき、おぼろ気に目覚めた。
「気が付いたか……! どういう事じゃ? 先程のおぬし、透けてゆくように身体が消えかかっておったが」
「 ────── 」
フライヤの問いに虚ろな表情のまま答えようとしないのに対し、サラマンダーが問い質す。
「黙ってたって分かりゃしねぇ。……それとも、記憶喪失で答えられないとでも言うつもりか?」
「無理に話させる必要もあるまい、本人にも判らぬ事やも知れぬ」
気遣うフライヤだが、マゥスンはゆっくりと上体を起こして無感情に答える。
「 ────私は今、本体から切り離された<精神体>としてこの世界に存在している」
「何だと? ……実体にしか見えねぇが、魂の存在という事か? その本体とやらは、どこにある」
訝りながらも、話を受け入れるサラマンダー。
「この世界とは、異なる次元。────ある要因で、こちらに<精神>のみ飛ばされて来た」
「ウイユヴェール………それでおぬしは、あの場所に意識不明のまま現れたのじゃな? やはり、自らの名以外に何も憶えていない訳ではなかったようじゃの」
フライヤは薄々気付いていながら、問い質す事はしないでくれていたらしい。……サラマンダーは構わず疑問を投げ掛けてくる。
「つまりお前は、本当の意味で異世界の者だと言う事か。……それはそうと、さっきお前の存在自体が消えかかってたのは何故だ?」
「 ────この世界での、<精神体>としての消耗が激しい。このままでは、早々に消滅し兼ねない。そうなれば元の世界で眠っている本体は、屍と化すのみ」
「何という事じゃ……それでおぬし、私らと行動を共にして元の世界へ戻る方法を探っておったのじゃな」
さすがに驚きを隠せぬフライヤだが、サラマンダーは別の意味で納得し難いらしい。
「……お前、よくもそう淡々としてられるな。少しは不安とやらを感じたりしねぇのか?」
「 私は、そちらを利用しているに過ぎない。迷惑を掛
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