魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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さてさて、どうする気だ?』
消耗云々はともかくとして、リブロムの言葉は実に奇妙だったが――それを問いただしている暇はない。いや、肉体的にも精神的にも余裕がないというべきか。下手に巻き込まれては御神光の足を引っ張るだけだ。少し後退して体勢を立て直す必要がある。それに、
「アルフ、なのは達を頼む! ユーノは艦長を頼む!」
僕以上に冷静さを失っているなのは、それに加えて身体的にも深いダメージを追っているフェイト。そして、ディストーションシールドとジュエルシードの維持を続ける艦長の安全を確保する必要もあった。時の庭園の崩壊は今も続き、それ以上に御神光とその怪物の戦闘は苛烈を極めている。最悪は、なのは達だけでも脱出させなければならない。多少強引な手を使ってでもだ。
(あとは、今の僕にどこまで出来るか……)
拙いながらも回復魔法を唱える。この程度では応急処置にも満たないが、あの戦いに介入するには少しでも消耗を補っておかなければならない。
『おいおい。本気で飛ばしてるな、相棒!』
御神光の右手に、膨大な魔力光が宿る。今まで以上に強大な力を秘めた青白い輝き。
「天竜よ!」
御神光がその腕を一薙ぎすると同時、その閃光は強靭なドラゴンの尾のように怪物の身体へと叩きつけられる。……いや、
「あれを相殺した、だと……」
何匹もの紫電の大蛇が、ドラゴンの尾を喰い千切っていく。その結果、閃光が本体に直撃する頃には、その威力は随分と減衰していた。戦場の轟音の中でそんな些細な音が聞こえるはずもないが、それでも不思議と御神光が舌打ちしたのが分かった。
『不完全とはいえ、アレまで凌ぐとはねぇ……。これは結構ヤベえんじゃねえのか?』
続けざまに氷撃波を叩き付ける御神光を見ながら、リブロムが呻く。さすがにもう軽口は品切れらしい。あの一撃はそれほどに信頼を寄せていた――つまりは切り札の一つだったという事なのだろう。
「奇兵の咆哮よ!」
プレシアの攻撃を掻い潜り、頭上へと抜けだした光は、そのまま叩き付けるように、爆炎を放つ。それですらこの怪物にはほとんどロクなダメージを与えられない。精々髪のように蠢く蛇の何体かが千切れただけだ。
≪私の可愛いアリシア。生まれてきてくれて、本当にありがとう≫
千切れた蛇の胴体から噴き出すどす黒い何かと共に、ふとそんな声が聞こえた。
「何だ?」
それは、プレシアの声だった。念話のようだが、念話ではない。もちろん、肉声でもない。にも関わらず、実際に空間に響いているように感じられる。不気味に歪曲しながら、それでも確かに聞こえてくる。そして、今も耳の奥に絡みついている。
「剣魔女の斬撃を!」
叫びと共に、御神光の身体が消え――次の瞬間には、プレシアの背後へと出現する。それに少し遅れて、その怪物の身体には袈裟切りに裂
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