魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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的だが、やるしかない。いや、やらなければならない。あの男の犠牲を無駄には――
『まぁ、そう慌てんなって』
そんな中で、リブロムが呑気に笑う。思わず思いつく限りの罵声を浴びせそうになったが――
『心配しなくても、相棒の奴はまだやる気らしいぜ?』
その言葉に、思い浮かべていた罵声が全て消え失せた。この本は、一体何を言っている?――だが、その疑問をあざ笑うように声を聞いた。
「遠く遠く天と地の狭間に生まれしもの――」
それは、あの時、あの海上で聞いた詠唱だった。
「――迫る災禍見据え慟哭響く前に終焉に挑め」
あの状況で生きていたのか――呻く僕を他所に、深淵の魔力が瓦礫の山を吹き飛ばし、世界を黒く染めていく。
「我ら古よりの法に従い捧げるは眼球賜うは礫」
その中で、満身創痍の御神光がゆっくりと立ち上がるのが見えた。身体中から血を滴らせながら、それでも真っ直ぐにその怪物を睨みつける。その彼の纏う異様な魔力に、さすがの怪物も恐れを抱いたらしい。僕らを無視し、御神光へと向かって走りだす。
だが、
「禁忌より這い出し今ここに顕在せよ!」
御神光が詠唱を終える方が圧倒的に早かった。
「ひっ!?」
なのはが引き攣った悲鳴を上げる。その彼女の目前で、御神光が自らの手で自分の右目を抉りだして――そして、あの異様な魔法が再び世界に解き放たれる。
「何だと……?」
掲げた右目を中心に、いくつもの異形の眼球が浮かび上がる。そして、その視線は無数
の魔力弾――赤黒い閃光へと変貌し、怪物の身体を貫いていく。
『禁術コルゴン。見ての通り、眼球を代償にして発動する禁術だな。威力は大した事ねえがその分圧倒的に手数が多いし、おまけもつく。まぁ、割とよく使われてんじゃねえか? 代償も手頃だからな。ヒャハハハハハハッ!』
リブロムの場違いな笑い声も、もはや気にならなかった。その眼球から放たれた魔力弾が貫いた部位が、瞬く間に石化していく。これが、おまけという奴だろうか。ただし、怪物とて黙ってやられている訳ではない。無数の蛇を放ち、光を喰い殺そうとする。
威力は大した事がない、などとリブロムは言っているがそもそも数が暴力的だ。さらに、その一発ずつに下手な砲撃魔法など鼻で笑えるほどの威力が秘められている。もちろん、それを迎え撃つ蛇にも同じ事が言える訳だが。
「化け物どもめ……」
思わず呻いた。そんなものを使って真正面から撃ち合うなど、もはや正気ではない。
『違いねえな』
げらげらとリブロムが嗤う中で――その悪夢のような撃ち合いを制したのは御神光だった。一方の怪物は、その身体の大半が石像と化している。それに向かって、光はさらに魔法で生み出した石片を叩きつけていく。結局、怪物の身体が削りかけの石像となるまで、そう時間はかからなかった。だが
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