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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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 これが彼女の狂気の始まり。これが、彼女が狂ってしまった理由。彼女が狂ってしまった事を罪だと言うのなら――それこそが僕らが掲げる正義の限界だろう。起こってしまった悲劇は戻せない。僕らにできるのは、その悲劇の価値とその責任の所在を決めるだけだ。……それすら、おそらくは不完全だった。だからこそ、彼女は狂った。
「母さん……」
 なのはに縋りつきながら、フェイトはポロポロと大粒の涙をこぼす。
≪どんな手段を使ってでも!≫
 果たして。それは誰が犯した罪なのか。彼女が愛した世界を滅ぼしたのは誰だ?
「マズい! ユーノ!」
 だが、終わりゆく世界の中では、無力感に苛まれる事すら許されなかった。
 叫びながら、なけなしの魔力を振り絞ってシールドを展開する。それと同時、世界から音が消えた。そんな錯覚と共に、膨大な魔力が紫電となって辺りに解き放たれる。
(いや、違う!)
 それはまるで『空間そのもの』が雷に置き換えられたかのような一撃だった。距離も位置も――速さですらもまるで関係ない。避ける事など絶対に不可能な一撃。その一撃に、瞬時に視界が白く染まる。色を認識するだけの処理すら追いつかなかった。何も分からない。今意識を失えば、おそらく自分が死んだ事すら気付くことはできない。唯一の『色』は僕が――僕らが展開するシールドだけだった。
「このおおおおおっ!」
 おそらくユーノも間に合わせてくれたのだろう。それに、なのはとアルフもシールドを展開してくれている。お陰で今にも砕けそうなほどに軋んだ――いや、それどころかシールド内にも雷は『沁み込んで』きた。身体中に痛みと痺れが走り、うっすらと火傷を残していく。呼吸する事すらままならない――が、それでも何とか耐えきった。だが、
「光お兄ちゃん!」
 御神光は完全には防ぎきれなかったらしい。当たり前だ。こっちは四人がかりでどうにか凌いだのだから。雷撃に焼かれ、地面を転がりながら――それでも何とか立ち上がった御神光の身体を大蛇の尾が無造作に薙ぎ払う。投げ捨てられた人形のように、御神光の身体は瓦礫の山へと叩きつけられ、崩れ落ちた瓦礫に押し潰されて見えなくなった。その質量は、人一人をひき肉に変えるのには充分だろう。いや、それ以前の問題だ。最初の一撃の時点で炭化していておかしくない。今度こそもう――
「クソ! エイミィ、なのは達だけでも収容してくれ!」
 だが、後悔している暇などない。恐怖している暇も惜しい。怪物は次の狙いを僕らに定めたらしい。手負いなのはお互い様だが……こちらの方が消耗は深刻だ。それに、元々の性能が違いすぎる。
『ダメ! ジュエルシードの魔力が影響して座標が設定できないよ! まずはそこから離れて!』
「彼女が見逃がしてくれるならな!」
 どうやら誰ひとり見逃してはくれないようだ。状況は絶望
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