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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり3
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 何か妙な薬を盛られたらしい。
 溶けた鉛のように、重く、そのくせ形の定まらない意識の中で、曖昧に毒づく。
「じっとしていろ馬鹿」
 普段なら何とかなったかもしれないが、禁術の代償を被った身体ではなかなか思ったようにはいかない。昔の自分は、よくこんなものを何度も何度も使い続けたものだ。遠く薄れた記憶が夢となって漂う中で呻く。
 さて。不自然なほどに高い回復力を持つ自分でも、こんな代償をそう何度も乗り越える事が出来たのだろうか。
 死の淵だか夢の園だか知らないが、曖昧などこかでそんな事を思う。我ながら呑気だとは思うが――身体は薬で動かない。意識の方は、薄い膜を通した向こう側で喚き立てる痛みのせいでまともに働いていない。相棒の声もロクに聞こえなければ、自分が今どこにいるのかすら分からない。これでは他にやることも無かった。
 生贄。真っ先に浮かんだ言葉はそれだった。それがどのような意味を持つ行為なのかはさすがに覚えていたし、この器でも何度か行った事がある。その過程で理解していた。自分にとって、その行為は特別な意味を持っているのだと。
 ……それも、おそらくは悪い意味で。
 少なくとも身体が縮むほどの若返りなんてのは扱いに困る。まったく、うっかり胎児にでも逆戻りしたらどうしてくれる。何となく、遥か昔に大暴れするでかい赤ん坊どもに随分と苦戦させられたような気がするが――さすがに自分はあれほど馬鹿げた怪物ではない。……ないはずだ。よく思い出せないが。
 それにしても、一体どんな薬を盛ったのやら。意識が戻らない。時間の概念が失われていく。どれほどの時が経ったのか――そんな曖昧な感覚に不思議と郷愁すら覚えた。
「馬鹿が。何を寝惚けた事を言っている」
 寝惚けているのは誰のせいだと思っているのか。相棒の言葉に、思わず毒づきそうになった。もっとも本当に毒づけるような余力などないが。身体が痛む。血が騒いでいた。
「何だ?」
 相棒――と、知らぬうちに呼びかけてたらしい。ああ、そうか。今の自分にとって、相棒と言う言葉は彼女を示すのか。漠然とそんな事を思う。
「すまない。私は、お前の力になってやれない……」
 相棒こそ何を寝惚けた事を言っているのやら。本当の意味で今の『自分』があるのは、間違いなく相棒の――御神美沙斗のおかげだ。彼女がいなければ、『自分』は今ここにいない。他の誰かになっていたか。それとも他の『何か』になっていたか。
 ともかく、今よりマシな状況になっていたとは思えない。
「すまない……」
 痛み以外の感覚が、身体に伝わってくる。どうやら、相棒に抱かれているらしい。もちろん、男女の関係と言う意味ではないが。むしろ、それはまるで我が子を抱く母親のように思えた。……残念ながら、ほとんど自身の記憶にはないのだが。
 どこか異
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