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雲は遠くて
63章 第2回 モリカワ・ミュージック 忘年会 (2)
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Eのホームページには、『憲法が保障する、
表現の自由、芸術・文化を守ってください』ってあるけれど、
ダンスを踊る自由って、いまの日本には、無いようなものですものね!」

 美樹はテーブルの向かいの信也と、ちょっとのあいだ、見つめ合った。

「60年前に作られた風俗営業法も、いろんな犯罪の防止のために作られたらしいけどね、
なんていったらいいのだろうね、自由や芸術や文化を守ってゆくためには、
いろいろな悪と戦うことも必要なのかなって、思っちゃうよね。あっはっは」

 持ち前の楽天さで、信也はそういって明るくわらった。

「でも、しんちゃん、なんで、世の中には、悪いことをする人と、正しく生きようとする人と、
戦い合っていかなければ、いけないんでしょうね!これじゃまるで、
勧善懲悪のバトルの、エンドレスのような映画の連続だわよね。
そんなことを考えていると、わたしって、すごく悲しくなっちゃうんだけど」

 信也の左隣の大沢詩織が、信也を見つめながらそういった。

「だいじょうぶよ。詩織ちゃん、あなたには、正義のヒーロー、しんちゃんがいるじゃないの!」

 テーブルの向かいの美咲がそういって、詩織に微笑んだ。

 「そうよ。詩織ちゃん、みんなで、いっしょに、がんばりましょう!」

 美樹がそういいながら、明るくわらった。

 「おれが、正義のヒーローですかあ。まあ、いいや、
まあ、コツコツと無理はしないで、楽しく、みんなで、
力を合わせて、がんばっていかなくっちゃ。あっはははは!」

 信也がそういって、またわらった。みんなも声を出してわらった。

 忘年会の中盤からは、モリカワ・ミュージックのミュージシャンたちのオン・ステージもあった。

 後半は、大抽選大会が行われた。1等の5万円が3本、2等の3万円が4本、
3等の2万円が5本、4等の1万円が7本、5等の5千円が10本というもので、
当選者の発表されるたびに、明るい歓声やわらい声が上がった。

≪つづく≫ --- 63章 おわり ---

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