DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十二話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ラディーンの苦しげなうめき声も収まっていく。
それを見て、セモンは悟った。なぜ、ガラディーンが《主》に服従していないのか、その理由を。
目の色だ。紅蓮色の瞳を持っている存在は、全て《主》に対して絶対服従の感情を抱くようになるのだ。
ガラディーンの瞳は灰色だった。つまり彼女は、あの時点では《主》に服従を強制していなかったわけだ。
だが今、その瞳は紅蓮色へと強制的に変貌させられていく。
「やめろ……やめてくれ!! そうが痛がっている……苦しんでいる……!!」
「キミに止める権利はないはずだけどなぁ、シャノン。彼女は僕のモノだよ?」
くつくつと笑ってシャノンを見る《主》。それを受けて、うずくまっていたシャノンが立ち上がる。
その顔に浮かんでいるのは、憤怒。目を見開いて、《主》を睨み付け、漆黒の波動を纏った双巨剣を振りかざし、
「否違う!! そうは……僕のモノだぁぁぁぁっ!!」
絶叫して、《主》に切りかかった。
セモンの眼が捉えきれないほどの凄まじいスピード。ハザードすらも瞠目しているところを見れば、彼にも見えなかったのだろう。
今間違いなく、シャノンは過去最速の、人類種すら超越したスピードで、《主》へと斬りかかっていったのだ。
だがそれを、《主》は興味のなさそうな顔で見つめて、小さくつぶやいた。
「悪いね、効かないんだ」
ガァァン!! という激しい音が鳴り響く。《主》の周辺を取り囲むように出現した、半透明の紅蓮色のドームが、シャノンの双巨剣を抑えているのだ。
「馬鹿、な……」
「まあ実際のところ、所有権なんて宣言したら彼女に怒られてしまう。僕は怒られるのが嫌いでね。さっさと終了させて土下座しよう。
『アクセス、ユニットID【サタナイル】
――――《惟神》――――
《憤怒》』」
《主》が右手を突き出すと、そこを中心に、一瞬だけ空間が歪んだ。衝撃波が発生したのだ。
何の変哲もない、ただの衝撃波攻撃。だが、それがもたらした効果は絶大だった。
突如、ズガァァン!! という凄まじい音が背後から聞こえた。あわてて振り返れば、なんといつの間にかシャノンがそこまで吹き飛ばされ、地面に落下しているではないか。恐らく先ほどの音は、彼が壁に叩き付けられた音だったのだろう。だが、その壁には傷一つない。
「なんてこった……」
ハザードの口から、かすれた驚愕が漏れる。
「がぁ、は……」
口からおびただしい量の血を吐き出しながら、シャノンは起き上がる。
「キミの《破壊》の『世界願望』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ