Act_1 《花の剣士》
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Act_1 《花の剣士》
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耳に入る声の数、雑多な地面を踏みしめる足音の数
何もかもが桁違いな、何もかもが集まるその場こそ──第50層主街区《アルゲート》
薄汚い、と言えば確かにその通り
だが、だからこそ設置出来る店舗の料金も安く済み、自然と商人はこのアルゲートを根城して活動することが多くなっていた
人ごみを掻き分けて、目的の場所へと向かう
この街には贔屓にしている商人がいるからだ
偶然とはいえ、珍しいS級食材である《ラグー・ラビットの肉》を手に、
少年──キリトは目的地へと歩を進める
キリトは、このアルゲートの雰囲気を好んでいた
薄汚くて、人が集まり、喧騒の絶えないこの街
どこかアジアの街を思い出させ、そう──秋葉原の電気街のような
複雑に入り組んだ裏道なんて、まさにそれだ
客を引く為に大声で宣伝をする商人や、
レアな装備を見せ付けるように街を歩く剣士たち
そんな者たちを尻目に、とある商人の店の前まで歩みを進めていたキリトだったが、
その目の前に小規模ながらも人だかりが出来ているのが見て取れた
──エギルの店で何かあったのか?
知り合いの斧使いの身を案じ、キリトは迷うこと無く、その人だかりへと混ざり込んだ
周りの人間は胡散臭そうに顔をしかめるが、気にすることは無い
やがて、その人だかりを抜けて、ようやくエギルの店先が見える場所へと陣取る
何の問題が、とエギルの店へ視線を向ければ──1人のプレイヤーが立っているだけだった
ボロボロの布切れを羽織り、顔を見せないようにフードを被っている
それだけなら、別段何処にでも居るプレイヤーの1人に過ぎない
だが、人だかりたちの注目は男の背中──大きな大輪の花が描かれた、ボロボロのマントへと向けられていた
「おい、あれ」
「あぁ、死神だぜ」
「こんな所にまで出てくるなんて……」
「人前によく顔を出せるわね……」
人だかりから聞こえる、罵声
ヒソヒソと、たった1人のプレイヤーへ向けられる罵りの言葉を背中で聞きながら、
キリトはそれでも男の姿を凝視することしか出来なかった
背中に描かれた《梅の花》、それを知っているからだ
──"PKK"の証
エギルの顔が、分かり易い程に強張っている
アイテムウィンドウとフードの男を交互に見やり、顎に手を当て、思案に耽る様など普段では想像すら出来ない姿
その様を、フードの男はじっと見つめているだけだ
やがて、エギルはフードの男にサッと指を突きつける
本数は3本
……1つが1000コル、と言う事は無いだろう
最低でも10万
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