道化と知りつつ踊るモノ
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った後に一つの情報が入ったなら……私は此処を離れる事になる。麗羽達は優しいから、そうする事で士気が上がる。任せても問題は無い。郭図も……こうすれば油断が生じて隙が出来る。
ごめんね、明。麗羽達を見捨てるなんて……私にはもう出来ないみたい。
赤か黒かに賭けるなら、自分は優しい人に賭けようと……黒の少女は淡い願いを込めた。
――どうか、この戦に勝ってから会えるその時は、私を抱き締めて。きっと……絶望の底を覗いてしまってると思うから……
†
二つ並べた馬の上、二房の螺旋が揺れる黄金は……隣で何処か呆けている黒に構うことなく前だけを見ていた。
追随するは護衛の親衛隊五百。残りは全て街の守護に置いて来た。
久しぶりに邂逅したが、どちらもの変わりようには口を出さず。
秋斗から見て、華琳はより大きくなったように感じた。劉表を呑み込めたのだろうと直ぐに把握した。
華琳から見て、秋斗はより昏くなったように感じた。自分の乖離が進んだのだろうと直ぐに理解出来た。
別段、何も言わない。其処まで親しい間柄でもないし、褒めるのも心配するのも互いの為にならない。
任せた仕事を熟したなら華琳にとって問題は無く、自分の思惑の予想通りにこの戦の行く末を導いてくれたなら秋斗にとっても問題は無い。
目に見えて落ち込んでいる秋斗は月光の上で一人であった。月は居ない。華琳が乗せてやれと一撫でして、月光は秋斗を頭突いてから背に乗せていた。
華琳の命であれば、どうやら月光は秋斗一人でも乗せてやる気になったらしい。
「徐晃隊には何か言ってきたのかしら?」
凛、と鈴の音のような声が響いた。何処か楽しげにも思える。彼は覇王の狙いを理解していたが故、噛みつく事もない。
ぼんやりと見ていた遠くから目を切って、秋斗は華琳の横顔をぼんやりと見据える。
「……腫物を扱うように接するのが嫌だからってあの部隊を纏めていた男から言われたよ。酒屋を一儲けさせて来るって……哀しそうに笑って去って行った」
強すぎる想いを感じて、秋斗は彼らにあれ以上何も言えなかった。
泣き叫ぶ声がまだ頭に残っている。どれだけ慕ってくれていたか、彼らを見れば否応にも突き付けられた。
――やはり今の自分を示さなかったか。
秋斗が今の自分にもついて来てくれと頼み、彼らが着いて行こうとするのなら、鳳統隊を試験的に徐晃隊に戻してもいいと華琳は考えていた。
これは予想の範囲内。元より低い確率だった。道化師のままでは徐晃隊を扱うには不安が残るのも一つ。
戦場の報告は聞いたが、彼が戻らないなら戻らないで他の手がある。
新たな徐晃隊を発足して、黒麒麟とは別に黒き大徳を確立させること。雛里の思惑の通
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