暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
道化と知りつつ踊るモノ
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を浮かべた。

「クカカッ、いいねいいねぇ! あいつらが後生大事に育てた馬を……ククッ、最高だなぁおい!」
「ん、白馬義従は騎射が基本戦術。突撃も強いし同じ騎馬兵にも強いけど、烏丸からの服従者を使えば対抗出来る」
「はっ、結局世の中金だわな」

 強い兵器も、人材も、そうやって袁家は作り上げてきた。金とは、何時の時代でも文明を持つ人々にとって正しく力である。
 言い方に眉を顰める斗詩ではあったが口を挟むはずも無く。麗羽は自分の家の力であるが故に目を伏せて肯定の意を示す。

「言い方が下劣」
「真実だろうが。自分は清廉潔白ですぅってか?」
「どうして私? クズらしい言い方って言っただけなのに。分からなかったの? 無様」
「ちっ……口の減らねぇクソアマが……」

 途端に不機嫌になるのはいつも通り。夕の煽りに、明は満足そうに頷いた。
 夕と郭図の二人はもう目すら合わせようとせず、このまま共に居るのも嫌だと思ったのか、軍議を進めて行く。

「兵を割いて対応する以上、官渡の攻略は難しい」
「……このまま膠着すれば互いに睨み合える。だが、曹操は帝からこっちの征伐依頼を受けてるだろうからな……時間なんざ使ってられねぇはずだ」
「ん、戦の連続で兵糧の消費も大きい。白馬義従を連れて来た事で時間を使えば使う程に苦しくなる。孫策を都に留め続ける事もあまりしたくない、と思う」
「こっちは数が多いんだ。別に他の街を攻めて強引に奪ってもいい。輜重隊を奪っちまう事だって出来る。神速が厄介だが……四六時中走り回るなんて出来ねぇだろよ」
「でも長くなればこちらの有利、とも言いきれない。数が多いから被害での余剰分も裏返る。出来れば此処からは短期決着させてしまいたい」
「ああ、兵数を減らし過ぎちまうと曹操の領内の制圧がめんどくさくなるしな。力をそのまま持つなら、曹操本人に敗北の屈辱を突き付けて従わせるのが一番最善だ」

 自分達が口を挟めるか、と聞かれても麗羽と斗詩には出来ない。二人のやり取りを頭で思い浮かべてどうにかついていくのがやっとであった。

「その為には官渡から曹操を引き出すか、官渡内部に居る兵数の多くを引き出して無理やり攻略して捕まえるしかない。だから……」

 チラ、と明を横目で見やる夕。天幕の回りに耳は無いか、と。
 一寸だけ目を瞑った彼女は、大丈夫だと頷いた。
 にやりと口を引き裂いたのは……夕と郭図のどちらも同じく。

「……明……ううん、張コウを……“袁家の勝利”の為に、身命全て曹孟徳に捧げる。それが勝利出来る一番有力な策」

 あんぐりと口を開け放ったまま、麗羽と斗詩は何も言えず……されども明は口を引き裂き、

――あなたの描く幸せの為になるなら……覇王の慰み者であろうと、下卑た賊徒のおもちゃであろ
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