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乱世の確率事象改変
道化と知りつつ踊るモノ
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る。そも、名家名家と謳うのだから、先人達の行いに敬意を感じないわけが無い。

「幽州の歌がどうであれ、今は結果だけを見るべき」
「そうです、わね」

 ブレそうな芯を見抜いた夕が聡く気付き、感情の挟まれない声で軽く促す。
 集ってしまったモノは仕方がない。此れからの事に目を向けるべき時である。もはや袁家は……否、麗羽は覇道を行くしかないのだから。

「それにどうせ……白馬義従がどれだけ多くても、外部勢力がどう動こうと、この戦は始めから予定通りに進んでる」

 ぽかん、と口を開けたのは二人。麗羽と斗詩であった。
 二万近く、さらには後背を抑えられるというのに……それすら予定の内だと言われては驚かないモノの方が異質であろう。
 そんな二人を見て、郭図は呆れの吐息を漏らした。

――所詮その程度かよ。戦ってのは敵の王を取ってしまえば終わり。どれだけ兵を犠牲にしようと、どれだけ将を失おうと、だ。其処を忘れる奴が多過ぎる……くっだらねぇ。

 その為の思考を積み上げて行けば、自然と道筋は見えてくるモノ。
 処理能力の違いで答えが出るかどうかが決まる、というわけでも無い。考えて考えて、情報を集めて読み解いて行けば誰でも思いつくモノなのだ。
 軍師は思考能力が速く、利害を見極められる知識と知恵が広く深い、そして細かい事を見逃さない。しかし……本来は真っ直ぐ結果を為したいだけであり、それが出来ないから策で彩るのだ。
 ただ、他にも理由はあるのだが。

――こればかりは仕方ない。優しい彼女達では辿り着けないモノだから。

 心の内で割り切る夕は、明を見やった。
 彼女は同じ予測を立てていたのだろうと、緩く浮かべている笑みから直ぐ分かる。
 麗羽や斗詩がこれは無いと切り捨てる道を、郭図や夕、明は選べる。他人への悪意を持てるかどうか、其処が大きな差でもあった。

――でも、曹操軍も同じような道筋を立てているからこうなった。

 その上で、夕達が選ぶ道筋を読み切れない敵ではないと知っている……いや、夕や郭図のような選択が出来る軍だと言ってもいい。

――秋兄が居るからだけじゃない。覇王の為の軍だから私が描く戦絵図を読んで来る。でも桂花と鳳統は……一歩届かない。白馬義従を使う策は読めていた。多いけど、数に重点を置くなんて……相変わらず綺麗過ぎる。やっぱり私の敵は曹操と秋兄で間違いない。

 結局は官渡だけが問題点なのだと、内心でほくそ笑んだ。
 そのまま、首をふるふると小さく振って思考を打ち切った夕は、地図の一点を差して口を開いた。

「白馬は“取らせる”。ただし烏巣には向かわせない。延津には向かわせてもいいけど……動いてきた場合、攻城弩と野戦用の兵器を使用して蹂躙する」

 夕の考えを聞いた郭図は、漸く笑み
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