第137話 愛紗仕官する
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仕えよ。否は受け付けん。いいな?」
正宗は愛紗の意見を無視して愛紗に命令した。
「しかし!」
「いいな!?」
愛紗は正宗の言葉に異を唱えようしたが、それを正宗は一蹴した。それ以上、愛紗は何も言わなかった。
「店主はいるか?」
正宗は店主を呼んだ。すると店の奥から粋な雰囲気の壮年の女性が現れてきた。彼女の風貌は身長百八十センチ位で緑色の長髪を後ろで纏めていた。また、彼女の歩き方には一分の隙もなく、正宗は彼女が武の心得があることを一瞬で見抜いた。
「お客さん、何か用かい?」
店主は正宗に物怖じせずに堂々と言った。
「店主、悪いが愛紗は私の家臣になることになった。今日で店を止めさせて欲しい。これは迷惑料だ」
正宗は懐から銭の入った布袋を取り出し、それを食台の上に置いた。その布袋はかなり大きく五千銭位は入っていそうだった。
「金は要らないよ。でも困ったね。愛紗がいなくなると人手が足らなくなる。兄さん、迷惑料代わりに一ヶ月間この店で働いておくれ」
正宗は店主の言葉に切れそうな表情に一瞬変わったが理性を総動員して怒りを飲み込んだ。美羽は店主の行動に可笑しそうに口を押さえ笑いを堪えていた。愛紗は店主の正宗への言動に戸惑っていた。
この店は大きくない。店の奥からでも店内で交わされる話し声はよく聞こえるはずだ。店主は話の流れで正宗がかなり高位の官職を持つ人物と分かった上で「迷惑料として店で働け」と言っているのだ。
「店主、何故に私がこの店で働かなければならないか教えてもらえるか?」
正宗は店主のことを値踏みするように見た後、口をおもむろに開いた。
「私の店の店員を勝手に連れて行くんだから当然じゃないか。明日からどうやって店をやっていけばいいんだい」
店主は飄々とした表情で答えた。その表情から悪意は一切感じられなかった。正宗は店主の腹が読めず困惑した表示に変わった。人が足らないというなら正宗の出した金を受け取って使えば幾らでも人が集るはずだ。
「女将さん、私が正宗様に代わって一ヶ月間仕事をします」
正宗と店主との間に愛紗が割って入ってきた。愛紗は正宗に店員などさせることなど滅相もないと慌てた表情だった。対して店主は愛紗の気持ちを組もうという心は持ち合わせていないように正宗に追い打ちをかけた。
「駄目だね。この兄さんに働いてもらわないと」
店主は挑発するような笑みを正宗に送った。正宗は心の中で怒りを覚えるが押し殺した。
「この私が清河王と知っての不敬か?」
正宗は怒りこそ表情に表れていないが、彼の瞳からは感情が如実に滲み出ていた。愛紗も正宗に雰囲気の変化を感じ取り表情に緊張が走った。正宗は前皇帝霊帝より車騎将軍、冀州牧の官職を与
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