第137話 愛紗仕官する
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
来たのだ。彼は美羽の姿をしばらく様子を遠目から眺めた後、彼女に近づいて行った。
「美羽、どうしたのだ」
「兄様!?」
美羽は声を掛けた正宗に驚いた表情で振り向いた。そして、服装を正して正宗の方を向いた。
「兄様、このような場所にどうして?」
「ここからの眺めは良い眺めだからな」
正宗は美羽の通り抜け、彼女の左横に並び立つようにして城下の景色を堪能していた。
「はい、よい眺めですね」
正宗の感想に美羽も城下を眺めながら呟く。美羽の様子は傍目から見ても、城下に行きたそうに見えた。
「美羽、城下でも行くとしよう」
「無理です。この前の襲撃で家臣は右往左往しています。これ以上、家臣の者達に心配はかけられません」
美羽の家臣達は城下に配置する警備の兵を増やしていた。地方に配備していた兵達を無理のない程度に宛城へ集中させていた。現在の宛城の警備兵は太守襲撃事件以前の十倍であり、城下はかなり物々しい雰囲気に包まれていた。その城下に自分が行けば余計に混乱を招くと美羽は思っているのだろう。
「心配無用だ。この私がいるのだからな。それに少し髪型を変えれば美羽と分からないのでないかな」
正宗は思案した表情で美羽を見つめた。
「髪型ですか? その程度で分からなくなるものでしょうか?」
美羽は自分の手入れの行き届いた美しい金髪を触りながら言った。
「物は試しだ。明命と亜莎を呼んでやってもらおう」
「美羽様、お似合いですよ!」
明命と亜莎の手際の良さで、現在の美羽の髪型はツインテールになった。
「いつものもいいが、これはこれでいいな」
「正宗様もそう思われますか!」
明命と亜莎は正宗の言葉にはしゃいだ。美羽は照れくさそうに?を染めた。
「ところで何故に髪型を変えようと思われたのですか?」
亜莎が不思議そうな表情で美羽に尋ねてきた。美羽は言いづらそうな表情になる。
「美羽と一緒に城下に出ようと思い、美羽に変装をさせようと考えたのだ」
美羽に代わり正宗が説明した。正宗の言葉に明命と亜莎が驚いた表情になるが、直ぐに困った表情に変わった。二人としては美羽の親友の関係であるため、美羽の心情は痛いほどわかっていた。しかし、親友として家臣として美羽の安全は守ることも二人には重要なことだった。
「髪型だけを変えられても美羽様と普段から接している者達は直ぐわかると思います」
亜莎は気まずそうにおどおどして美羽、正宗と順に顔を見て答えた。
「美羽様、私達の頼みを聞いてくだされば城下に行くことができるように渚様(魯粛)に談判してみます」
明命は亜莎と美羽のやりとりを黙って見ていていたが口を開いた。
「誠か!? でも
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ