忍び寄るは何者か
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
足そうにげっぷをする。
『さあ次ダ! 次は右足に意識を集中さセロ! そして向う脛辺りに溝をつくるイメージを持チナ!』
説明を受けたグラトニーは一旦空気を大きく吸い込んで爆発させて空中へ飛び出し、移動と空気の吸引を同時に行って、大きく脚を振り上げた。
狙うは……眼下のトタスギルディである。
テイルレッドとテイルブルーには全く構う事無く、グラトニーは右足に形造られた、一見唯の細長い凹みにも見えるほど細く、そして0.1o未満単位の隙間を持つ溝から、“風砲暴”以上に斬撃に特化させた風を蹴りと共に撃ち放った。
「風刃松涛!」
「何……がっ? じ、地面が―――ぁ」
そして、堅牢な装甲を持っていると見えるトタスギルディを、コンクリートごと真っ二つにしてしまった。
細胞同士の結合をそのまま離した様な切り口は、撃ち放った“風刃松濤”の切れ味がいかほどなモノなのかを如実に伝えてくる。
トタスギルディのオーラも吸い込んで飲み込み、最後に残った属性玉に手を付けるべく伸ばした時……その属性玉をテイルブルーが一瞬早く拾い上げ、一息で距離を取った。
「あ……」
(『ンン? あの嬢ちゃん何か目的があんのカネ?』)
恐らくは、グラトニーの目的や正体を知りたいのだろう。だから、テイルブルーは彼女をある意味餌で釣ると同義の事を行おうとしているのだ。
が、グラトニーはそんな事までは考えがいかないか、今すぐにでも飛びかからんばかりに唸り、涎も少々こぼれ始めてきている。
その動作たるや、まるで……ではない本物の獣のそれだ。
「……取引で答えてもらうわよ。あなたが何者なのか、何を目的としてるのか」
「それ、食べるからちょうだい」
『オイオイ直球すぎるっテノ、食欲ぐらい抑えなッテ』
「欲しかったら答えなさいって言ってるのよ」
「……ホントにくれる?」
「答えてくれたらね」
『適当は俺が用意しとくかラヨ、答えてやんな相棒』
「むぅ……うん、わかった」
ラースの一押しと絶対に食べたいという思いもあり、グラトニーは素直にうなずく。ラースが答えを要しするとは言ったが、質問の最初の一つである目的は単純な事なので、グラトニーにもすぐに答えられる。
「自分の目的、食べる事。生きる為に、食べる事、それだけ」
「本当は?」
「本当は食べる事」
「……目的が獣のそれね。まあ、下手な作戦よりはよほど説得力があるけど」
まあ、涎ダラダラで質問に答える時もテイルブルーでは無く、手に持っている属性玉を見ているのだから、これ以上信用しようのある答えは無い。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ