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寄生捕喰者とツインテール
忍び寄るは何者か
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足そうにげっぷをする。



『さあ次ダ! 次は右足に意識を集中さセロ! そして向う脛辺りに溝をつくるイメージを持チナ!』



 説明を受けたグラトニーは一旦空気を大きく吸い込んで爆発させて空中へ飛び出し、移動と空気の吸引を同時に行って、大きく脚を振り上げた。

 狙うは……眼下のトタスギルディである。

 テイルレッドとテイルブルーには全く構う事無く、グラトニーは右足に形造られた、一見唯の細長い凹みにも見えるほど細く、そして0.1o未満単位の隙間を持つ溝から、“風砲暴”以上に斬撃に特化させた風を蹴りと共に撃ち放った。



風刃松涛(ふうばしょうとう)!」
「何……がっ? じ、地面が―――ぁ」




 そして、堅牢な装甲を持っていると見えるトタスギルディを、コンクリートごと真っ二つにしてしまった。
 細胞同士の結合をそのまま離した様な切り口は、撃ち放った“風刃松濤”の切れ味がいかほどなモノなのかを如実に伝えてくる。


 トタスギルディのオーラも吸い込んで飲み込み、最後に残った属性玉に手を付けるべく伸ばした時……その属性玉をテイルブルーが一瞬早く拾い上げ、一息で距離を取った。



「あ……」

(『ンン? あの嬢ちゃん何か目的があんのカネ?』)



 恐らくは、グラトニーの目的や正体を知りたいのだろう。だから、テイルブルーは彼女をある意味餌で釣ると同義の事を行おうとしているのだ。


 が、グラトニーはそんな事までは考えがいかないか、今すぐにでも飛びかからんばかりに唸り、涎も少々こぼれ始めてきている。


 その動作たるや、まるで……ではない本物の獣のそれだ。



「……取引で答えてもらうわよ。あなたが何者なのか、何を目的としてるのか」
「それ、食べるからちょうだい」

『オイオイ直球すぎるっテノ、食欲ぐらい抑えなッテ』

「欲しかったら答えなさいって言ってるのよ」
「……ホントにくれる?」
「答えてくれたらね」

『適当は俺が用意しとくかラヨ、答えてやんな相棒』

「むぅ……うん、わかった」



 ラースの一押しと絶対に食べたいという思いもあり、グラトニーは素直にうなずく。ラースが答えを要しするとは言ったが、質問の最初の一つである目的は単純な事なので、グラトニーにもすぐに答えられる。



「自分の目的、食べる事。生きる為に、食べる事、それだけ」
「本当は?」
「本当は食べる事」
「……目的が獣のそれね。まあ、下手な作戦よりはよほど説得力があるけど」




 まあ、涎ダラダラで質問に答える時もテイルブルーでは無く、手に持っている属性玉を見ているのだから、これ以上信用しようのある答えは無い。

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