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寄生捕喰者とツインテール
忍び寄るは何者か
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と本音で返す訳にもいかず、瀧馬は相手の発言にオウム返しする。というかそれしかできない。

 相手は名前を返してもらえなかった事よりも、何時も容赦なく喰らいつかれていたのに返答してくれた事が嬉しかったか、もう一度ビシッと指差し口を開いた。



「そうだ名前だ! まさか本当の獣ではあるまいし、存在しないという訳ではあるまい!」

『急かすんじゃあねェヨ、まだ考え中だってのにナア』

「……ん〜……ん〜? ……んぅ?」

「あるのだろう? ……名前は、あるのだろう? あっ、な、無かったら考えてもいいぞ!!」
「うむ! そうだ、時間はやるぞ!!」

『だっテヨ。ゆっくり考えちまおウゼ、相棒』



 そこから瀧馬とラースは名前を考え始める。しかし、モンスター娘状態の瀧馬は如何せん頭を使わない傾向がある為、実質的にラースが一人で考える事になってしまった。

 傍から見ればボーっとしているようにしか見えず、ツインテイルズも瀧馬を無視して武器を構えている。



『ア〜ア〜、こっちがちゃんと考えてるってノニ、それぐライ……イヤ、普段話を聞かない俺らが言える事じゃねエナ』

「……」

『もう“これ”でいイカ。安直だが中々に言いネーミングだと思ウゼ!』



 ラースから伝えられた名前をしかと覚え、瀧馬は音量を少し上げて彼等の方へと顔を傾け、その名前を口にした。




「グラトニー」


「「「「えっ?」」」」



 やっぱりというべきか、瀧馬……改め“グラトニー”の存在は忘れかけていたらしく、アルティメギルもツインテイルズもキョトンとした顔で立ち止まる。



「自分、名前、自分……名前は、グラトニー」

『何で最初繰り返したよ相棒。この短時間で忘れた訳じゃあるまイニ……いやありえルカ! クハハ!』



 何が可笑しいのかゲラゲラ笑い出すラース。

 対して周りは、新たに現れた人物の名前に少しばかり戸惑っていた。

 まあこれも当然。体を覆う鎧の意匠が違うとはいえ、彼女は紫色のツインテールを持っているのだから、普通テイル○○―――――テイルパープルや、テイルバイオレットなどと名乗るのが定石。

 それが、“大食い”“暴食”の意味を持つ“グラトニー”だったのだから、戸惑いを持つのも当然だ。


 あちこちから徐々にざわめきは広がり、あっという間にグラトニーの名は浸透していく。



 と、いきなりゆっくりとエレメリアンが佇む方とは全く別方向へグラトニーは眼を向けた。




「え? な、なんですか?」

『如何した相棒』

「テイル……テイルはいらない、自分はグラトニー。その前も後も無い、ただの“グラトニー”」

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