忍び寄るは何者か
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《なるほど……ではこの少女、“グラトニー”についても、まだ判断するには早いと?》
《はい。アルティメギルからの侵略者を握りつぶす怪力に、コンクリートをバターの如く切る斬撃、異常とも言える食欲に、喰い千切るという恐ろしい闘い方。彼女の方から人は襲わないとも言っていますし、今まで襲った経歴もありませんが……何にせよ油断は禁物です》
《では、テイルレッドた―――テイルレッドやテイルブルーと、彼女はどう関連しているのでしょうか?》
《映像を見る限りでは敵でも味方でも無いといった感じですね。テイルレッドた―――レッドごと敵へ攻撃を叩き込んできたり、交渉前にも下手すれば襲いかからんばかりの気迫を放っていましたから》
《そうですか……それにしても時折可愛らしさを覗かせていた彼女ですが……やはり恐ろしさが先に立ってしまいますね》
《しかし彼女は所々テイルブルーと違う点が見受けられますね。そして最も違う点は、その眼にあります》
《と言いますと?》
《彼女の眼は暴力を楽しむ蛮族のそれでは無く、生物的本能と悲しみを湛えた目なのです。食べなければ生きていけないのは自明の理、しかしグラトニーは更にそれだけでなく、大きな何かを背負っているのかもしれません》
《なるほど、ご意見ありがとうございました……続いて、皆さまの待ちかね! テイルレッドの―――》
プチン、という切なげな音と共に、ニューススタジオの映像は途切れる。テレビの電源を切った張本人であろう、そして他ならぬグラトニー本人である瀧馬は、ソファーの上でガックリとうなだれていた。
紫色のモンスター娘……改め“グラトニー”はギャラリー前に堂々と姿を現した所為で、当然の如く次の日の朝のニュースで上げられてしまっていた。
しかしながら、好意的とは言い難いが嫌悪されているかといわれるとそうでも無く、人気を気にしているならばホッとしたであろう。
……そう、人気を気にしているならば。
人気を気にしていない瀧馬にとっては、罪悪感も刺激されて迂闊な行動をとりにくくなった事に他ならない。それでも、非情な手段を取らざるを得なくなれば、世間の評価など元から気にしていないので、実行に移す覚悟はある。
「徹頭徹尾ケダモノを貫こうとした訳じゃあないんだが……属性力を前に理性が……」
『しょうがないダロ、まだまだ食欲には負けてんだかラヨ。それに可愛いかったゼェ、あん時の相棒はヨォ』
「ぐ、おおおっ……!」
可愛いくなかったかといえば、どちらかというと別段そうでも無いかもしれない……そんな行動をグラトニーの状態で瀧馬はとっている。
が、コレは食欲に感化されて別人格が飛び出してきている様な物であり、根本に居るのが瀧
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