DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十一話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る。恐らくだが、凄まじい激痛が彼女を襲っているのだ。
「先生……!」
『ふむ……ある意味でプロパガンダになったか。見たか? 俺の本来の役割は、異能者なんかじゃなくて魔導書なんだよ。どーせ生真面目な坊主のことだ、さっき思ったんだよな? 『なんで人間だったはずなのに本なんかに』、とな。つまりこういうことだったワケさ。
《精霊系自在師》にはな、こうやって、『使われること』を前提にした異能もあるんだよ』
初耳である。
そもそも、《自在式》の片端をかじった程度のハクガには、専門的な知識があるわけでは全くない。自分の家に頻繁に出入りしていた自在師が、そんな技能を持った存在だったとは、知らなくても当然である。
「《天球儀》はね、本当ならシーニア一族しか使えないんだけど、グリモアは特別に使えるんだよ」
『そういうこった。わりぃな、坊主。嬢ちゃん。お前らには、ここで消えてもらうことになるわ』
ぞくん。
ハクガの背中を、何か凄まじい悪寒が這いずり回る。
これから繰り出される《ナニカ》は、想像を絶する存在だ――――そんな確信が、ハクガを捉えて離さない。
「お父様がね、使っていいって言ったの。だから、これ、使ってあげる。
『――――《惟神》――――
《絶対唯一神》
我に逆らう者に、雷を』」
起動の直前、ハクガはせめて、とハクナに駆け寄って、彼女を抱きしめた。意味があるとは思えないが、彼女を、守らなくてはならないと。
そう、なぜか思って。
真っ白に染まる視界。それが、ハクガが二度目の《白亜宮》で、最後に見た光景だった。
***
「おぉぉぉおおお!!!」
コクトの刀から、吹雪が漏れ出ではじめる。
《冥刀・凍》のエクストラ効果である氷ダメージ追加。それを、持ちうるスキルと六門魔術を使って、ひたすら最強化した、コクトの切り札。
この一か月の間に、シミュレーションステージでひたすら鍛え上げた、対《白亜宮》用の剣技。
前回この場所に来た時に――――コクトは、《七剣王》を名乗る少女たちの筆頭、ホロウ・イクス・アギオンス・スプンタマユに完膚なきまでに敗北した。
どれだけ早く動いても、まるで何事もなかったかのように先んじて動いてくるホロウ。早さがウリのコクトは、それに全く対応できずになすすべもなく切り刻まれたのだ。
あれから、どうやれば奴に勝てるのか――――それなりに、コクトは研究した。
敗因の一つは、《コクト》というアバターの、彼が先手を取れない場合に対する弱さだ。スピード系のスキルや技術を極め、常に先手を取れるようにカスタマイズされた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ