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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十一話
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なくどこかで、聞いた声。

『おいおい、忘れちまったのか? 矛盾の御子の”陰陽”。”陽陰”の嬢ちゃんもいるのか。どうやら『戻れた』ようだな』

 《矛盾の御子》。その言葉で、思い出した。

 ハクガは驚愕で目を見開く。

 この声は――――かつて鈴ヶ原の家に出入りしていた、《精霊系自在師(いのうつかい)》の声。

 だが、彼は黒いローブに身を包んだ、将官のような姿をしていたはずだが――――!?

 どこかで――――《白亜宮》の何処かで、再会するのではないかと思っていた。だがまさか、彼が本になって登場するとは夢にも思わなかった。

「なぜ、あなたがここに……?」
『決まってんだろ。ここが俺の家だからだ。おりゃぁ主殿からお嬢のお目付け役を命じられててね。お前らの前から消えたのはその指示が降りたからだよ。『ここ』と『むこう』と『あっち』じゃ時間の流れが違うからな。どんだけ経ってんのかと思ったら……意外とだったな。お前は凛々しくなったし、嬢ちゃんは美人になった』

 記憶に在る声と同じ声で、本の姿になった《精霊系自在師》の男はハクガとハクナを讃える。そこには確かな優しさがあった。

 しかし直後、彼は冷徹な声になって続ける。

『だがまだだ。お前らはまだ弱い。その程度でお嬢を、ついでに主殿をぶっ倒そうと思ってんだったら、甘すぎるとしか言いようがねぇ。いいか? お嬢はな、主殿が手塩にかけて育て上げた、最強の《神格》だ。奥方の実力は寒気がするほどだが、主殿の《脚色》がそいつを上回った。まったく、話しが逆だっての』
「何を……言って……」

 ハクアが立ち上がり、弓を引く。放たれた矢は、しかし半透明の障壁のようなものに阻まれ、皆徒には届かない。

『おいおいおい、あぶねぇなぁ姉さん。おりゃぁこの坊主どもと話してんだ。ちと黙ってな。
 おい、お嬢』
「むー。私のほうが指示出すんだよ? まぁいいや……『SS強制発動【魔法】、”オリジンマジック”の領域を閲覧、《天球儀(ラグナライズ・ジ・エンド)》を行使します』」
 
 皆徒の口から、機械的に祝詞が紡がれていく。浮かび上がった魔導書が自動的に開き、その上に立体魔方陣を展開する。十の丸と、それを結ぶ線で構成された魔方陣。
 
『了解。セフィロトシステムによる高速真言展開開始――――演算終了。照射』

 一瞬で魔方陣の全ての円が光輝き、皆徒の周囲を光の輪が囲んでいく。そして――――

 ――――ハクアの頭上に、真黒い球体が出現した。

「なっ……!」
「えい」

 球体は落下して――――ハクアを、言も無さげに飲み込んだ。

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! あああ! ひあぁぁぁぁぁっ!!』

 漆黒の球体の中から、苦しげなハクアの悲鳴が聞こえ
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