第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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ルイズを抱き抱えたワルドは、ウルキオラと男の戦いが終わるのを見ると、『フライ』の呪文を唱えつつ、階段の上に降り立った。
「ウルキオラ!」
ウルキオラを見て、ルイズが叫ぶながらウルキオラに駆け寄る。
ウルキオラは近づいてくるルイズに向かって言った。
「何だ?」
「なんだじゃないわよ!腕は!?」
ルイズはウルキオラの片腕を持ち上げる。
しかし、傷一つ付いていなかった。
「あの程度の魔法で、俺が傷つく訳がなかろう」
「あの程度って…今の呪文は『ライトニング・クラウド』よ!『風』系統の強力な呪文なのよ!」
ルイズは怒鳴った。
「なんだ?心配してくれるのか?」
ウルキオラはルイズをからかうように言った。
「なっ!ち、ちがうわよ!わ、私はただ…」
「ただ、なんだ?」
ウルキオラは冷たく尋ねた。
ルイズは口籠っている。
すると、ワルドか手を叩き、拍手し始めた。
「すばらしい!まさか、あの魔法を片手でかき消してしまうとは!本来なら、命を奪うほどの呪文だぞ!」
ワルドは興奮していた。
「知るか…先を急ぐぞ」
階段を駆け上った先は、1本の枝が伸びていた。
その枝に沿って、一艘の船……、が停泊していた。
帆船のような形状だが、空中で浮かぶためだろうか、舷側に羽が突き出ている。
上からロープが何本も伸び、上に伸びた枝に吊るされていた。
ウルキオラたちが乗った枝からタラップが甲板に伸びていた。
ワルドたちが船上に現れると、甲板で寝込んでいた船員が起き上がった。
「な、なんでぇ!おめぇら!」
「船長はいるか?」
「寝てるぜ。用があるなら、明日の朝改めて来るんだな」
男はラム酒の瓶をラッパ飲みしながら、酔って濁った目で答えた。
ワルドは答えずに、すらりと杖を引き抜いた。
「貴族に2度同じことを言わせる気か?船長を呼べと言ったんだ」
「き、貴族!」
船員は立ち上がると、船長室にすっ飛んでいった。
しばらくして、寝ぼけ目の初老の男を連れて戻ってくる。
帽子を被っている。
彼が船長らしかった。
「なんのご用ですかな?」
船長は胡散臭げにワルドを見つめた。
「女王陛下の魔法衛士隊隊長、ワルド子爵だ」
船長の目が丸くなる。
相手が身分の高い貴族と知って、急に言葉遣いが丁寧になる。
「これはこれは。して、当船へどういったご用向きで……」
「アルビオンへ、今すぐ出港してもらいたい」
「無茶を!」
「勅命だ。王室に逆らうつもりか?」
「あなた方が何しにアルビオンに行くのかこっちは知ったこっちゃありませんが、
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