第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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ったが、それが果たして船なのであった。
飛行船のような形状で、枝にぶら下がっていた。
ウルキオラは本の知識から、空に浮かぶ船の存在を把握していた。
ワルドは、樹の根元へと駆け寄る。
樹の根元は、巨大なビルの吹き抜けのホールのように、空洞になっていた。
枯れた大樹の幹をうがって造られたものらしい。
夜なので、人影はなかった。
各枝に通じる階段には、鉄でできたプレートが貼ってあった。
そこにはなにやら文字が躍っている。
駅のホームを知らせるプレートのようだな、とウルキオラは思った。
ワルドは、目当ての階段を見つけると、駆け上り始めた。
木でできた階段は、一段ごとにしなる。
手すりが付いているものの、ボロくて心元無い。
階段の隙間、闇夜の眼下に、ラ・ロシェールの街の明かりが見えた。
ウルキオラは途中の踊り場で、後ろから追いすがる者に気づいた。
ウルキオラが振り返ると、黒い影が、さっと翻り、ウルキオラの頭上を飛び越し、ルイズの背後に立った。
先ほど、フーケのゴーレムの肩に乗っていた、白い仮面の男だった。
そして、男は一瞬でルイズを抱き上げた。
「きゃあ!」
ルイズが悲鳴をあげた。
ウルキオラは響転で男の横に移動し、ルイズの手を引っ張り、男の横腹を蹴り飛ばした。
「がっ!」
ウルキオラの蹴りをマトモに食らった男は肺の中の空気を吐き、階段の手すりに吹き飛ばされた。
ウルキオラは地面に降り、ルイズをワルドに手渡す。
ワルドは、ルイズを抱きとめ、空中に浮かんだ。
ウルキオラは男が吹き飛ばされた付近に移動した。
男は、手すりにつかまり、立ち上がり、ウルキオラと対峙した。
背格好はワルドと同じくらいだ。
腰から杖を引き抜く。
黒塗りの杖だ。
ウルキオラはポケットに手を入れ、仁王立ちしている。
男は杖を振った。
男の頭上の空気が、冷え始めた。
冷んやりした空気が、ウルキオラの肌を刺す。
何をするつもりだ?
「相棒!くるぜ!」
デルフがそう言った瞬間、空気が震えた。
ばちん!と弾け、男の周辺から、稲妻が伸びて、ウルキオラに向かって放たれた。
「『ライトニング・クラウド』!」
ウルキオラは片手をポケットから出し、『ライトニング・クラウド』をかき消した。
「なっ!」
男は驚いた。
完璧に詠唱した、『ライトニング・クラウド』が片手でかき消されたからだ。
ウルキオラは拳に霊圧を溜め、それを男に向かって放った。
虚弾である。
「ぐぁああああああ!」
男はそれを食らって、階段から身を落とし、闇夜に消えていった。
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