第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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の作戦で勝ったんじゃないの!」
キュルケがその頭を小突く。
轟々と燃え尽きようとするゴーレムをバックに、物凄い形相のフーケが立ち上がった。
「よ、よくもあんたら、ウルキオラに続きこのフーケに土をつけたわね……」
見るも無残な格好である。
長く、美しかった髪はちりぢりに焼け焦げ、ローブは炎でボロボロになっていた。
顔は煤で真っ黒になり、美人が台無しであった。
「あら、素敵な化粧じゃない、おばさん。あなたには、そのぐらい派手な化粧が似合ってよ?なにせ年だしね」
キュルケは止めとばかりにフーケめがけて杖を振った。
しかし、さっきまでの戦いで、魔法を唱える精神力は消耗しきっていたらしい。
ぽっと小さな炎が飛び出て、すぐに消えた。
「あら、打ち止め?」
キュルケは頭を掻いた。
それはタバサもギーシュも同じらしい。
フーケもそのようだった。
魔法を唱えずに、真っ直ぐにこちらに向かって歩いてくる。
「年ですって?小娘が!私はまだ23よ!」
フーケは拳を握りしめ、キュルケに殴りかかった。
キュルケも思いっきり殴り返す。
2人はあられもない格好で殴り合いを始めた。
タバサは、座り込むと、もう興味ないと言った感じてあった。
すると、先ほどの戦いでボロボロになった、盾代わりにしていたテーブルの陰に一冊の本を見つけた。
ウルキオラがその場に忘れてしまった『鬼道全集』である。
タバサはウルキオラの持っていた本だと気付き、徐にそれを手に取った。
しかし、表紙の文字が読めず目を細めた。
そして、ペラペラとページをめくった。
「……読めない」
タバサはそう言いながらも本に目を通した。
ギーシュは、美人同士の殴り合いを、ほんのりと顔を赤らめて見守った。
服が乱れて、なんともいい感じであった。
遠巻きにその様子を見ていた傭兵たちは、さっそくどっちが勝つかで賭けを始めた。
キュルケがフーケと殴り合いをしている頃、桟橋へとウルキオラたちは走った。
月明かりで道は明るい。
とある建物の間の階段にワルドは駆け込むと、そこを登り始めた。
長い、長い階段を上ると、丘の上に出た。
現れた光景を見て、ウルキオラは目を見開いた。
巨大な樹が、四方八方に枝を伸ばしている。
大きさは山ほどもある、巨大な樹だった。
高さはどのぐらいあるのか?
夜空に隠れて、てっぺんが見えないが、相当な高さである。
虚夜宮の塔を見上げる気分で、ウルキオラはその巨大な樹を見つめた。
そして……、目を凝らすと樹の枝にはそれぞれ、大きな何かがぶら下がっている。
巨大な木の実か?と思
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