第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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、喚きだした。
「諸君!突撃だ!突撃!トリステイン貴族の意地を今こそ見せるときである!父上!見ててください!ギーシュは今から男になります!」
ゴーレムに向かって駆け出したギーシュの足を、タバサが杖で引っ掛けた。
ギーシュは派手にすっ転ぶ。
「何をするんだね!僕を男にさせてくれ!姫殿下の名誉のために、薔薇と散らせてくれ!」
「いいから逃げるわよ」
「逃げない!僕は逃げません!」
「……あんたって、戦場で真っ先に死ぬタイプなのね」
タバサは近づくゴーレムを見て、何か閃いたらしい。
ギーシュの袖を引っ張った。
「なんだね?」
「薔薇」
ギーシュが持った薔薇の造花を指差す。
それを振る仕草を、タバサはしてみせた。
「花びら。たくさん」
「花びらがどうしたんだね!」
ギーシュは怒鳴ったが、すぐにキュルケに耳を引っ張られた。
「いいからタバサの言うとおりにして!」
その剣幕に、ギーシュは造花の薔薇を振った。
大量の花びらが宙を舞う。
タバサが魔法を唱えた。
舞った花びらがタバサの唱えた風魔法に乗り、ゴーレムに絡みつく。
「花びらをゴーレムにまぶしてどーするんだね!ああ綺麗だね!」
ギーシュが怒鳴った。
タバサはポツリとギーシュに命じた。
「錬金」
ゴーレムの肩に乗ったフーケは、自分のゴーレムに花びらがまとわりついたのを見て、鼻を鳴らした。
「なによ。贈り物?花びらで着飾らせてくれたって、手加減なんかしないからね!」
ゴーレムは拳を振り上げた。
一撃で、キュルケ達が盾代わりにしているテーブルごとぶっ潰すつもりであった。
そのとき、まとわりついた花びらが、ぬらっと何かの液体に変化した。
油の匂いが立ち込める。
『土』系統のエキスパートであるフーケは、すぐに花びらが油に液化した理由に気づいた。
『錬金』の呪文である。
あいつらは、ゴーレムに張り付いた花びらを『錬金』で油に変えたのだった。
やばい、と思った時には手遅れだった。
キュルケの唱えた『炎球』が、フーケのゴーレムめがけて飛んできた。
一瞬で巨大ゴーレムはぶわっと炎に包まれた。
燃え盛る炎に耐え切れず、ゴーレムが膝をつく。
しばらくためらうようにゴーレムは暴れていたが、そのうちに地面に崩れ落ちた。
自分の雇い主が敗北したのを見届けると、蜘蛛の子を散らすように傭兵たちは逃げ散っていく。
キュルケたちは手を取り合って喜んだ。
「やったわ!勝ったわ!私たちだけで!」
「ぼ、僕の『錬金』で勝ちました!父上!姫殿下!ギーシュは勝ちましたよ!」
「タバサ
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