考えの模索
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は彼の胸ぐらを離すと、自分の剣を取りに行った。
俺はこの聖杯戦争を舐めていた。サーヴァントであるセイバーが襲われることはあっても俺は襲われないと心のどこかで思っていた。しかし、現実は違う。
これはサーヴァントと共にマスターを試している。ここで死ぬようなら聖杯を手にする資格はないとでも言うかのように。
セイバーの言う通り今までの甘っちょろい考えは棄てよう。とにかく、周りに迷惑をかけたくない。
俺はそう心に誓いながら立ち上がった。そして、剣を引き抜くセイバーへと視線を移す。セイバーには申し訳ないことをした。自分のせいで色々と苦労をかけて…。
俺はセイバーの元へと歩いて行き、伝えるべきことを伝える。
「本当にごめんなセイバー……」
「………」
背を向けたまま、セイバーは答えない。
「俺……甘かったよ。セイバーが戦うことが当たり前で自分は関係ないと思ってた。だけど、それは間違いだって気付いた。俺も戦うよ。セイバーだけで戦わせないから……だから!」
ガシャン
「セイバー!?」
セイバーが倒れた。急いで彼女の体を抱き起こし、必死に名前を呼ぶがセイバーから返事はない。兜の中から苦しそうな息つがいが聞こえてくる。
「大丈夫かよセイバー!セイバー!!セイバァァァァァァ!!」
俺は一人席に座り、目の前のベッドで横になっているセイバーを見つめる。彼女がこうなったのは俺のせいだ。彼女の足を引っ張ったせいで今セイバーは寝込んでしまっている。
「セイバーさんのお加減はどうですか?」
俺の後ろから桜が声をかけてきた。
「ああ、さっきよりは良くなった。ありがとな、桜」
セイバーがこの保健室に運び込まれた直後、彼女は酷い汗をかいていた。左手首を見ると真っ赤に腫れ上がり、触ることさえ躊躇うくらいだった。
だが、今はセイバーから汗は引いていき、顔色が少しだけ良くなって見えた。しかし、左手首の腫れは一向に引かない。もしかしたら骨にヒビか折れているのではないかと不安になる。
「いいえ、当然のことをしたまでです」
笑顔で答える桜に心からホッとする。だが完全に安心しきってはいけない。セイバーの怪我の状態を把握しない限りは本当に安心できない。
「なぁ、セイバーの怪我ってどうなんだ?」
すると、桜の表情が曇った。なんでそんな深刻そうな表情するんだよ……何とか言ってくれよ…。心にあった安心感は急に何処かへと消え、とてつもない不安感に襲われた。
桜は重苦しい表情で落ち着いて聞いてください、と俺に念を押す。
「セイバーさんはまともに戦うことはできません」
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