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Angel Beats! the after story
月夜のかぐや姫
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間は壊された。ある日、私の弟、妹のような存在だった子供たちは、暗殺先で殺された。それも、私たちに暗殺を教えた者によって。その知らせはすぐに私の耳に入った。子供たちは盾にさせられたと。奴は私を感情の無い人形と勘違いしていて、目の前で偉そうに話したよ。もちろん、すぐにその首元を掻っ切ってやったさ。その日のうちに何十人も殺し、国の暗殺組織を半壊させたよ。それこそ、感情の無い人形のように」

「そして、生き残りの暗殺者によってあなたは殺されたと」

「ああ。酷く、残酷で、あさはかな少女の物語さ」

彼女の沈痛な表情は、私の心に深く突き刺さった。人の過去というのは、簡単に踏み込んではいけない。それが相手にとって、十字架なのかもしれないから。


「一つだけ聞いてもいいかしら?」

「なんでも聞いてくれて構わない」

思っていた疑問を彼女に問う。

「何であなたは私たちの戦線に入ったの?あなたぐらいの技術、力量なら一人で十分やっていけたはずよ。戦線に入ることはあなたにとっては、実力の全てを出し尽くせない足手まといぐらいにしか、ならないはずよ。だから教えて?何で戦線に入ったのかを?」

彼女は、あの日の出会いを思い出しているかのように、懐かしいさを醸し出す表情をしていた。

始めての出会いは、殺すか殺されるかの状況だった。日向くんは文字通り、ボロ雑巾みたいに切り刻まれるし、大山くんは腕を切り落とされるし。正直、恐怖だったわ。結局は、かなでの力を借りて不意打ちで勝ったようなものだけど」

「疲れていた……というのはもう答えてたな。それもあった。人を殺すのが嫌になったんだと思う。でも、それだけじゃ納得しないだろ?だからあの時は、恥ずかしくて言えなかったが、今なら言えるよ。…………こいつらは、殺ししか脳のない私を必要としてくれていた。力が有る無し関係なく、私を気に入ったと言ってくれた。仲間になってって言ってくれた。嬉しかったんだ、ものすごく。だから決めた。この罪深い、あさはかな力を仲間を守るために使いたいって心の底から」

感情をあまり見せない彼女なりの精一杯の言葉。彼女の堅い決意。今夜彼女を知り、近づけたことは、何物にも変えられない収穫だった。

「私たちも、椎名さんを心の底から守りたいと思っているわ。お互い様よ。だから、これからも守り合いましょ。椎名さん」

「承知した。このC7、与えられた椎名という名に恥じぬように全身全霊で守ろう。…………これからもよろしく……ゆりっぺ……」

雲に隠れていた月が再び顔を出し、椎名さんの顔を照らし始める。

一粒、二粒と彼女から流れ落ちてくる温かな涙は、溶け切れていなかった氷の表情を溶かすように流れ落ち、月に映える美しい笑顔に変わっていった。

「帰りましょ」

椎名さ
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