第一章
str4『星無き夜のアリア@』
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…彼と、同一人物なのだ。
「久しぶりだな……元気、だったか?」
「おかげさまでな」
一通りの社交辞令ならクロスにもできる。それが、主観では《友人》と言っていい存在ならばなおさらだ。
キリトは強い。βテスト時代の最前線だった第十層に最初に踏み込み、その迷宮区の最も高い所まで上ったのは彼だけなのだ。きらびやかなファンタジー兵装だったあの時とは服装や顔立ち的に差異が多いが、同じく片手剣使いを貫いているようだし、装備の強化具合も高い。
彼は今後、間違いなくSAOのトッププレイヤーの一人として活躍できるだろう。
「クロスはこっちでも両手剣なんだな」
「まぁ、な……キリトが言っていた刀スキルがプレイヤーにも使えるようになったら、そっちを使おうかと思ってはいるが」
「はは……まぁあれはモンスター専用スキルだし……出てくるとしても多分《エクストラスキル》扱いだと思うよ」
βテスターであることをあまり公に知られたくないのか、キリトはひそひそ声で会話を進める。
《エクストラスキル》。たった今話題に上ったそれは、SAOにおいて数あるスキルの中でも上位を占めるスキルたちの事だ。その性質は、初期に使用可能スキル欄にある無数のスキルとも、それらの派生スキルとも異なる、全く別途の……いわば《隠しスキル》である。β時代には微妙に格好悪い精神集中っぽいポーズをとることでHPが回復したりする《瞑想》というスキルが発見されていたが、他にも《体術》と思しきスキルや、キリトが見たという《刀》もその部類に入るのではないか、と推測されていた。
どちらにせよ、刀が登場する時は恐らく《曲刀》スキルの派生だろう。その時は鍛えた《両手剣》の代わりに慣れない片手装備である《曲刀》を使わなくてはいけないので、少々気が引けるが、やはり手になじんだ日本刀は使い勝手がいいだろう。
「とにかく、知り合いがいて助かったよ……まぁ、俺だけ浮いてるのがちょっと気になるけど……」
キリトがバツの悪そうに頭をかく。
彼の視界には、アスナ、シャルを含めて、全部で三つのフーデッドローブ姿が見えているだろう。
そう、三つ、である。
クロスはシャルとコンビを組むにあたって、彼女の強い要望でストレージの肥やしとなっており、いずれ売り払おうと考えていたフーデッドローブを着用していた。人物の特定を防ぐほかに、『仲間を見分けやすい』という考えもあるそうだ。
まぁ、実際のところフレンド登録やらパーティーを組むやらすれば、プレイヤーの周囲に表示されるHPバーの上に名前や所属ギルドのエンブレムなどが描かれるので、判別はたやすいのだが……確かに彼女の
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