第一章
str4『星無き夜のアリア@』
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
あまり得意ではない。ここで一人だけだったのなら、かなり心細い思いを…クロスなりに…したのだろうが、幸いなことに今はシャルがいる。彼女と出会えてよかった、と思った。
「シャル、ありがとう」
「な、何よ急に……変な人」
ぷい、とそっぽを向かれてしまう。何か変なことを言っただろうか。単に感謝の気持ちを述べただけなのだが……。
「……なぁ、あんたたちもあぶれたのか?」
その時だった。
噴水を囲む階段の、クロス達とは反対側の端に座っていた黒づくめの少年と、そのパーティーメンバーと思しき赤いフードのプレイヤーが近寄ってきたのは。
少年はぎごちない表情をしている。年齢は十四歳か十五歳ほどか。フードの方はよく分からない。
「一応、こっちのフードのプレイヤーとはパーティーを組んでいるが……」
シャルを指さして答える。すると少年は、
「じゃぁ、俺達と組まないか。レイドは八パーティーで一つしか組めないから、パーティーは少ない方がいい」
「……そうか。わかった」
クロスが頷くと、少年がウィンドウを操作する。直後、ぴこん、というサウンドと共に、クロスの視界に表示されるメッセージ。
『【Kirito】からパーティー申請がされました。受諾しますか? 【Yes/No】』
Kirito……キリト、と読むのだろうか。その名前に聞き覚えがあるような気がしつつも、クロスは【Yes】を押した。
直後、クロスの視界左端、自分のHPバーと、既にパーティーを組んでいたため表示されていたシャルHPバーの下に、新たに二本のHPバーが出現した。パーティーメンバーのHP残量を確認してスイッチや援護を円滑に行うためのバックアップだ。
因みにレイドを組んだ場合には、この下にさらに各パーティーの平均HPが表示されることになる。
そしてHPバーの横には、それぞれのプレイヤーの名前。一番上には【Kurosu】、二番目は【Char】。三番目は【Kirito】、四番目は【Asuna】――――アスナ、だろうか。
「Kurosu……クロス? ってもしかして、あの……?」
「……! やはり……あのキリト、なのか……?」
脳裏に甦るのは、三ヶ月前に終了した、βテストでの記憶。初心者であったクロスは、成り行きで同行することになってしまった一人のプレイヤーから、SAO、ひいてはMMOに関するレクチャーをうけた。
ソードスキルのうまい使い方。効率のいいレベリングの仕方。MMOプレイヤーとしての常識、心構え――――
一時間以上かけて作ったんだ、というそのアバターは、形容するなら『勇者のような青年』だった。
彼の名はキリト。目の前にいる黒衣のプレイヤーは……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ