赤と青、そして紫
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時と同じ吸気口が姿を現して獣の唸り声にも似た唸り声を上げて空気を吸い込み始める。
その大気吸引が一瞬止まり、グラトニーが顔を伏せた……次の瞬間。
「コォォォ……!!」
「ぶ、ぐぶぅぅっ!?」
ゴボン! とチキンギルディの体が少しばかり膨れ上がった。唐突な変化にギャラリーからも声があがるが、グラトニーはそれだけでは終わらせないと手に力を込め、そして―――――
「……握風科戸!」
「あぎょ――――」
握り潰されたが如く中央が破裂し、残った四肢と頭部が勢いよく転がった。立ち上がるオーラを自慢の肺活量で吸い込んで、最後に属性玉を飲み込み満足そうにげっぷをする。
「けぷっ……はぁぅ……」
歓声を上げる者など誰一人も無い。
当たり前だ……新しくヒーローが現れたかと思ったら、テイルブルー以上に容赦の欠片も無い、実に正義の味方らしくない戦い方をする、化け物にも近しい者だったのだから。
グラトニーは満足そうに腹を摩ったかと思うと、取り込んだ空気を放出して飛びあがり、空中からある場所得狙いを定めた。
「このっ! 重力にはそんな使い方も……あり? いきなり影?」
「ふふふ、ブルマは伝統を重んじる由緒正しき……む? 影?」
「えっ…… あ!? ちょっ、まさか!?」
それは未だ闘っているツインテイルズとトタスギルディのいる方向。
グラトニーは飛びあがった際に受けた空気抵抗を利用し、吸気口からタメ無しで一気に空気を吸い込んで……忠告の一声もかけずに思いっきり足を振り上げた。
「風刃松涛!」
「何……がっ? じ、地面が―――ぁ」
コンクリートにずれの無い綺麗な切り込みが一直線に走ったかと思うと、その線の上に居たトタスギルディが断末魔すら上げられず真っ二つになり呆気なく倒れた。
重力の力を使い巧みに立ちまわっていた彼が、その奮戦すらも称えられずに。
そこから上がったオーラもグラトニーは吸い込んで、チキンギルディよりも濃度が高かったか美味しそうに咀嚼し呑み込んだ。
最後に残った属性玉をグラトニーが拾い上げる前に……即座にテイルブルーが拾って一旦距離を取る。
「ブルー、何をするつもりだ?」
「コレを使って交渉してみるわ。目的ぐらいは聞きださないと」
ブルーの言葉を聞きレッドは頷いて……背筋に悪寒を感じて勢いよく振り向く。みると、グラトニーが恨めしそうに此方を見ているのが目に入った。
彼女の眼付きはさながら、大好物を取られた子供の様な……いや、これはもはや食事
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