赤と青、そして紫
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「捕食者の少女よ! 今一度名を聞こう、そなたの名前はなんだ!! よもや散るとしても、倒される相手の名を知らぬのは未練が残るのでな!」
今までの傾向からするに例え振り向いても、答えず飛びかかって喰いついてくるのが関の山であろう……そう、テイルレッドもテイルブルーも考えていた。
が、その考えに反して、少女は予想外の行動を取った。
「……名前?」
ちゃんと律儀に答えたのである。
彼女が今まで相手してきたゴリラに鷹に蛙の三体とも、振り向いても碌に返答すらしなかったのがこれは如何いった事だろうか。
驚くツインテイルズに対して、トタスギルディは答えてくれたのが嬉しかったか、大きく頷いた。
「そうだ名前だ! まさか本当の獣ではあるまいし、存在しないという訳ではあるまい!」
「……ん〜……ん〜? ……んぅ?」
「あるのだろう? ……名前は、あるのだろう? あっ、な、無かったら考えてもいいぞ!!」
「うむ! そうだ、時間はやるぞ!!」
どうしても名乗って欲しいのか、トタルギルディは何回かいいかえ、傍に居るチキンギルディも大きく二回、賛同の意を示し頷いている。
本当に名前が無いのだろうか、少女はクイッ、クリッと首を傾げながら悩む。その幼げな動作に、何時の間にか集まっていたギャラリーは、生まれた初めて恋心を抱いた乙女の表情をしていた。
左目や左腕に膝下から右足は、アルティメギル以上に異形の怪物ではある。だがしかし、他は美少女といっても差し支えない容姿なのだから、キュンときても仕方が無いかもしれない。……例えこの後で、一気にイメージを崩す出来事が起きるとしても。
少女は暫く考えてはいたが、ふと何処か明後日の方を見つめてボーっとし始め、やがて考えるのを止めたか突っ立ったまま喋らなくなっていた。
「な、何なんだろあの子。急にボーっとしちゃって……」
「何でもいいでしょ! アイツが動き出さないうちにさっさと決着付けるわよ!」
動くか動かまいかと悩んでいたテイルレッドは、先に水の槍・ウェイブランスを構えていたテイルブルーに押され、自身もリボン状のパーツを叩いて炎の剣・ブレイザーブレイドを出した。
相手もこちらに気が付いたか、戦闘員を差し向けるべく手を振り上げる。
ツインテイルズが駆け出すのが早いか、アルティメギル構成員が腕を振り降ろすのが早いか……街が張り詰めた緊張感に包まれた―――――刹那、
「グラトニー」
「「「「えっ?」」」」
まるで少女の周りだけ止まっていた時が、何かの拍子に再び動き出したか、そう
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