赤と青、そして紫
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する……ツインテールフェチにもほどがある。
(なんだろうな……あの子はいやいやツインテールをしているというより、最早何かを諦めたみたいな雰囲気と、悲しみを感じたんだけどな……ツインテールから)
訂正、フェチなんてレベルでは無い。こいつはツインテールから一体何を感じ取っているのか。
考えごとをし始めた総二へ津辺がまたツインテール関連で何かあったのかと、呆れた調子で乗り出した身を椅子へと戻してから口を開く。
「あんた―――」
だが、いざ文句を言おうとしたその時、二人の携帯電話が同時に鳴り、中断せざるを得なくなった。味気ない音だったが、まだ着メロを設定していないことから差出人がトゥアールである事を、二人とも即座に理解し通話する。
「どうしたんだトゥアール?」
『アルティメギルが現れたんです! けれど運がいいですよ、出現したのはたまたまワープ位置に設定していた場所ですから!』
「……そう言ってあんた、ジャングルとかに設定してんじゃないの? 私を未開の地へ放り出そうとしてないでしょうね?」
『いえ、そうしようとも思ったのですが、戻ってこられてからが怖いので……それに、よりパワーアップして帰ってきそうですし』
「何言ってんのよ! 毒虫にやられたら私だって倒れるわよ!?」
「いやそこは猛獣にしてくれよせめて」
「猛獣? あんな奴ら倒せるだけましでしょ。それよりも何時の間にか刺されるってのがヤバいのよ」
「……あ、そう」
思いっきり危惧すべきところがねじ曲がっている返答に、総二は平坦で簡単な言葉しか返せなかった。
予想していてもなれるものではないか、トゥアールも数秒黙っていたが、すぐに慌てた声が返ってくる。
『それよりも! 冗談でも洒落でも無く本当に現れたんです! だからすぐに出動してください! 正義の味方、ツインテイルズの出番ですよ!』
「おう!」
「ええ」
『あら? 愛香さん妙に機嫌が……あ、そうか! テイルブルーは正義じゃなくて蛮族の―――』
そこで総二の携帯電話もろとも通話を切り、ポケットへ忍ばせて津辺は立ち上がった。
「さっさと終わらせましょ、授業も半殺しもあるし」
「……おい、今何か不吉な単語にルビ振らなかったか……!?」
悪寒が止まらないまま、総二と津辺は人気の無い場所まで移動して、手首にあるブレスレッドを軽く掲げる。
「「テイルオン!」」
一瞬赤と青の閃光が炸裂した後に立っていたのは、ツインテールフェチ(もとい変態一歩手前)な観束総二と、対話という術を知らないが如く口より手が先に出る津辺愛香では無かった。
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