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寄生捕喰者とツインテール
赤と青、そして紫
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ラトニーは……答えを口にした。



「強い人少ない、美味しくない。それに私、食べる理由無いから食べない」
「……その言葉に嘘偽りは無いわね?」
「嫌いなモノ、進んで食べる?」
「! ……へぇ、中々分かりやすい例えしてくれるじゃない」



 ブロッコリーが嫌いな人が、好きな物を食べられるバイキングでブロッコリーサラダを沢山取っていくかと言われれば、答えは当然『否』だろう。

 確かに分かり易い例えだ。



「それじゃ……はい、約束通りこれあげるわ」
「あ、あっあっ! あ〜、ハクッ」
「投げた属性玉を口でキャッチした!?」
「なんか、犬に餌やってる気分になってきた……」



 中々に的を得ている意見だ。投げた物へ嬉しそうに飛びつくさまは、正にその通りと言えるだろう。

 しかし何故交渉の元とは言え、簡単に属性玉を投げ渡したのか? コレも簡単な話で、彼等にとってはかなり重要なモノかといわれると案外そうでもないからだ。

 大した属性力を持っていないのなら、生きる為の糧として本気で必要としている者に渡した方が良いだろう。

 至福の表情で飴玉を転がすように口の中で属性玉を転がし、やがて満足したか噛み砕いて呑み込む。


 そしてテイルレッドとテイルブルーの方を向くと、手を軽く掲げて小さく振った。



「バイバイ、じゃね」

「あ、ああ。バイバイ」
「え、えぇ……」



 満面の笑みで消えていく少女に、気が抜けたか二人は律儀に振り返してしまう。そしてブルーは思いだす……彼女がどんなエレメリアンなのか聞きだすのを忘れていた事を。



 こうして赤と青による紫への初対面は、何とも微妙な形で幕を下ろすのであった。








 ……余談だが、テイルレッドは何時もの様にギャラリーの老若男女問わず押しかけられて揉みくちゃにされ、とある立派な家の裏手の森の中ではとある少年がギターも無しにヘビメタの如く激しいヘッドバンギングをしていたという。



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