赤と青、そして紫
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唯一の救いは二人とも犬猿の仲というよりは意地張りの遥か延長線上みたいなものなので、お互いに加減を一応ながら知っているのが救いなところだろうか。
弁当を食べ終えて蓋を閉じた総二は、ふと表情を曇らせてここ最近問題になっている事を口にした。
「……本当、何者なんだろうな、あの子」
「あの紫少女ね。胸でかいってのは明確だけど、他は謎だらけだわ」
「いや、そこは気にする所じゃ……」
胸関連の話は津辺にとってどうして譲れ無いらしく、総二の尤もな意見をスルーして鼻を軽く鳴らす。
しかし、彼女も本当に気にすべき部分は分かっているようで、眼を僅かに伏せた。
「同じくアルティメギルの奴等を倒してるみたいだけど……メディアへの露出が殆ど無いし、私達より早く目的地に付いて速攻で食べちゃうから、以前正体が掴めずじまいなのよね」
「味方になってくれれば心強いんだけどなぁ……敵じゃあないのは分かってるんだしさ」
戦闘員含めて二分足らずで倒してしまうその実力は、総二よりも強いのはいわずもがな、戦いに最近加わったばかりなのに妙に頼もしい強さを見せる津辺と比べたとて、勝るとも劣らない。
しかし、一方で問題点もある。
紫色の少女はエレメリアンの血肉を糧としているようでいて、実際は彼等の体を構成している属性力を食べている事は、総二達も初見での考察で理解している。だからこそ、普通の人間にまで手を出さないかという心配が常に付いて回るのだ。
他にも、周りに一切考慮していないのか、彼等が到着時に嫌でも見てしまう戦いの跡が、それこそくっきりと残ってしまっているのである。地面は嵐がそこだけ通ったかの如く抉れ、樹木が存在していれば破壊もいとわない。
現時点では街近くで迎撃しているから助かってはいるのだが、もし彼女が街中に堂々と出てきたら、何も知らないギャラリーはツインテイルズの新メンバーかと勘違いするかもしれない。
結果警戒が疎かになり、怪我人が大勢出る可能性も否定できないのだ。
と、二度目の溜息と共に発せられた総二の台詞に、津辺が食ってかからんばかりの勢いで身を乗り出してくる。
「ダメッ!! あの子は敵でいいの!! これ以上味方増やしちゃダメ!!」
「え、いやでもあの子は元々戦ってんだし、一般人を巻き込んでいるのとは違って……」
「ダメなモノはダメなの!! あの子のちょっと一味違うツインテールが気に入ったとしても!」
「う……」
どうやらツインテールが気に入った点も、仲間へ入れられないかという考えを抱かせる一端を担っていたらしい。
敵か味方かも分からないのにツインテールを重視
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