第200話 赤の妖精と水色の妖精
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―クロッカスの街 西側―
悪魔7「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
大気が震える。
凄まじい悪魔の雄叫びが轟くクロッカスの街は、もはや“街”と言える事が出来なくなってしまった。街行く人々の声が聞こえ、色とりどりのクロッカスの花が咲き誇り、活気に満ち溢れていた“街”は―――――“残骸”となってしまった。
木々は倒され、クロッカスの花は引き千切られ、建物は破壊され、砂埃が舞い上がる。
悪魔7「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
それでも悪魔は、雄叫びを轟かせながら“残骸”となってしまったここを尚も破壊し続ける。
そんな中、リョウやエルザ、ショールの指示に従い西側にやって来た王国軍や軍隊の兵士達は、瓦礫の陰に身を潜め立ち往生していた。
兵1「・・・不味いな。」
兵2「これじゃあ、近寄れねェ・・・」
兵3「・・どうしたら・・・」
兵士達が立ち往生している事には訳がある。
この悪魔は赤黒い巨大な斧を持っており、その斧を上下左右闇雲に振り回しながらクロッカスの街を破壊しているのだ。斧は切れ味抜群で、コンクリート壁の建物もいとも簡単に真っ二つに出来るほどだ。
そんな危険すぎる斧に人間が当たったら、100%確実に一溜まりもない。
試しに先程瓦礫の陰から数本の矢を放ってみたのだが、闇雲に振り回される斧に弾き飛ばされ、矢は全て折られてしまった。もちろん、闇雲に斧を振り回しているだけの悪魔は、矢が飛んで来た事にも気づかなかった。
兵4「他にここから悪魔に攻撃出来る武器はないのかっ!?」
矢以外で兵士達が持っている武器は、剣、槍、盾。剣と槍は近距離専門の武器だし、盾は瓦礫の陰に隠れている以上無意味に等しかった。
兵5「こんな重大な時に役に立たない物しか持っていないとは・・・!」
兵6「私達は、悪魔を倒す事も、街を守る事も、多くの命を守る事さえ出来ないのか・・・!」
兵士達の多くは自分達の無力さに嘆いた。
兵士達の嘆きの声を掻き消すように、悪魔の凄まじい雄叫びが轟いた。
兵7「やりましょう!」
1人の新人兵士が顔を上げて驚愕の言葉を放った。新人兵士の言葉に兵士達は目を見開いた。
兵7「私達軍隊の者がこの世に存在している理由は、街を、命を、平和を守る為ではありませんかっ!?武器がないからと言って、いつまでもこんな所でビクビク震えているだけじゃ、街の被害は拡大するばかりです!」
そこまで言うと、新人兵士は腰に装着している鞘から剣を抜いた。剣の剣先が、月の光に反射しキラリと銀色に光った。
兵7「守る為ならば、命が無駄になる事はありません。少しでも、街を、命を、平和を守る事が出来るのならば―――――私は、この命惜しくありません。・
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