第十四章 水都市の聖女
第三話 神槍
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かっ! そうよっ! これぞ―――これこそ“武”ッ!! 生と死が交わるこの狭間にこそ“武”が生きるッ!!!」
長槍で空を切る音とは思えぬ轟音を立て、頬を歪ませた李書文が槍を構える。
「カハ、カハハハ―――儂は一体何を悟った気になっておったのか。年老い枯れ果てたと思うておったが、なに、ただ敵が居らぬかっただけ。今も昔も変わらず―――唯の血に飢えた窮奇でしかないッ!!」
「―――……っ」
李書文の周囲の空間が揺らめき歪曲する。
立ち上るのは空間が捻じ曲がる程の狂気と殺意。
向かう先には剣折れ矢尽きた衛宮士郎。
「まだまだ足りん―――足りんぞ小僧ッ!! 貴様の底を知るには未だ血も肉も何もかも足りん! 儂の武と貴様の武の力比べ―――死にたくなければ貴様の限界―――極地の先を儂に見せてみよっ!!!」
震脚の如き大地を震わせる踏み込みは、一歩で士郎との間合いを完全に踏み潰す。
直撃は未だないとはいえ、宝具による魔力の消費や弾き飛ばされる等した際の衝撃は、士郎の身体を深刻に蝕んでいた。限界が近づく士郎に対し、李書文はこれからが本番とばかりに気力体力共に十全。カラドボルグによる負傷を全く感じさせない。
襲い来る長槍は玄妙にして神速。
受けるは不可。
避けるも不可。
だが……それが―――どうしたっ!
「覇ッ!!」
突き出される槍の先、迫り来る殺意の銀光。
それを―――
「ッオオォ!!」
「―――ムッ?!」
―――弾く!
長槍を両手に握る干将莫耶を持って外へと払う。鈍く甲高い金属音と火花が吹き上がり。長槍が弾かれ士郎の身体を脇を通り過ぎ―――李書文の口から驚愕の声が上がる。
それは自分の攻撃が防がれただけではなく。
……何をした?
長槍に士郎の干将莫耶が触れた瞬間、李書文は確かにその剣を払うため槍を回した。拿―――外へと。だが、払われたのは自分の槍。槍先で爆発でも起きたかのような衝撃を受けたかと思えば、槍は的から逸れていた。
一体何を? 否―――李書文は分かっている。
衛宮士郎が何をしたか。
答えは単純。
槍を捌こうとすれば、回る槍に巻き込まれる。
なら、それ対する答えは二つしかない。
避けるか―――強力な一撃にて弾き飛ばすか
「呵々、力比べ……素直に過ぎるな。付き合いたいが儂は歳を食い過ぎた。故に、技にてお相手しよう―――ッ!!」
「―――応ッ!!」
士郎の左手に刻まれたルーンが一層輝き、強化された肉体のポテンシャルを更に押し上げる。ギリリと柄を握り締め、雄叫びと共に双剣を振るう。
弾き、避け、捌き、受け、薙ぎ、逸らし……―――
“神
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