第十二章
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第十二章
「何でもね。そう思って作ったのよ」
「何でもねって」
「話はいいから」
これ以上は話すつもりはなかったのでかなり強引に進めてきた。
「さあ、食べましょう」
「そうだね。それじゃあ」
「あのね、あなた」
亮子は箸を手に取ってそれでまずはホウレン草を取りながら宗重にまた声をかけた。
「これから二人で山に登っていくって言ったけれど」
「うん」
「二人だと寂しいわよね」
こう彼に言うのだった。
「何時までも二人じゃ」
「じゃあやっぱり」
「もういい頃だと思うわ」
また夫に告げた。
「だからね」
「そうだね。子供だよね」
「ええ」
夫の言葉にこくりと頷く。
「そうよ。子供とね」
「一緒に山に登るんだね」
「あなたの子供だから絶対に山が好きよ」
このことは確信していた。
「だからね。三人で」
「四人になるか五人になるかわからないけれど」
「それでも。二人だと寂しいから」
「そうだね。子供と一緒にね」
「ええ。そうなるようにしましょう」
「わかったよ」
彼は唐揚げを食べながら微笑んで妻の言葉に答えた。
「それじゃあ。これからはね」
「ええ。二人じゃなくて」
「もっと大勢でね」
二人で言い合った。ここでまた一つのことが決まった。そんな話をしながら楽しい頂上での一時を過ごしていると。不意に亮子の背中のリュックが鳴った。
「どうしたの?」
「あっ、携帯よ」
亮子の携帯の音だったのだ。
「一応持って来たのよ」
「そうだったんだ」
「何があるかわからないから」
念の為であるのだ。
「だから。持って来たのよ」
「それはいいけれど早く出ないと」
「わかってるわ」
とりあえず食べるのを中断してリュックを下ろしてそこから電話を取り出す。電話をあくせくしつつ取り出しながら背負っていたことに後悔もする。
だが何はともあれ電話を取り出した。見ればメールが入っていた。
「メールだわ」
「誰から?」
「朋絵からね」
その彼女の親友からだった。
「ええと。今海にいるけれど」
「うん」
「今は二人らしいわ」
「御主人とだね」
「後で写真送るって。何かね」
そのメールを見て苦笑いになる亮子だった。
「朋絵も朋絵で夫婦で楽しんでるわね」
「そうなんだ」
「ええ。それに?」
メールの文章はまだ続いていた。
「ふうん」
「ふうんって?」
宗重は思わず今の妻の言葉に問うた。
「何かあったの?」
「ご主人もそうだったの」
だが彼女は彼女で一人で納得していたのだった。
「そういうことだったのね」
「そういうことって?」
「海の人だったのよ」
「海の人って?」
「山に海ね」
ここでも自己完結してしまっていた。夫には何が何だか
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