第十章
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も?」
「野苺にあけびに」
どちらも山にある果物だ。
「他にも色々とね」
「だから山は怖くないのね」
「蛇や蜂だって」
山で最も怖いものである。蝮にスズメバチの毒が下手をすれば死に至るものであるのは山を知らなくても誰でも知っているものである。
「怖いと思ったことはないよ」
「そうなの」
「うん。むしろ車の方が怖いね」
宗重はこう答えたのだった。
「僕にとってはね」
「やっぱりね」
ここではつい亮子の本音が出た。
「そうなのね」
そしてさらに言ってしまった。
「山だから」
「山って?」
宗重も今の妻の言葉に気付いた。
「山がどうかしたの?」
「あっ、何でもないわ」
自分の失言に気付き言葉を慌てて止めた。
「というか山が本当に好きなのねって思って」
「それでなの」
「そうなの。それだけだから」
「まあ。本当に山はね」
宗重は妻の言葉にこれ以上突っ込むことはなく歩きながら目を細めさせて言うのだった。
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