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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 泣き紫
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ドで寝たかった。さむい、さびしい、いたい、かなしい――
「フェイがイヤって言ったら、また、パパに捨てられちゃう…だから、フェイのほうからパパ、拒めないよ…!」
「っフェイ!!」
――え?
これ、なに。さっきパパにされたコトと同じ感触。くち、と、くち、ぴったり、くっついて。
クレインさま、が、フェイ、に、キス、してる?
一日に違う人から2回もキスされた。
でもクレインさまのは、パパのキスと全然ちがう。髪を撫でるみたいに優しくて、水を飲んでるみたいにしとやかで。少し重なる位置がズレただけで、どきどきして、止まらない。
「ん…んぅ…ぁ」
「フェイ――」
「……っは…くれいん、さ、まぁ…」
のぼせる。腕があつい。胸板があつい。口の中を這う舌があつい。くらくらする。
息、できない。できなくていい。クレインさまが酸素よりオイシイモノを口移しでくれてるもの。クルシイけどキモチイイ。魔法みたい。
くちびるが離れた。……ああ、終わっちゃった。あんなにシアワセだったのに。
クレインさまはわたしの体を掻き抱いた。
「すまない――こんな形で打ち明けるつもりじゃなかった。けれど君が、ヴィクトルさんを拒めないと言った時、このままじゃ奪われるって――何て浅ましいんだ、僕は」
わたしを抱く両腕、震えてる。わたし、わたしが、クレインさまを悩ませてしまったんだ。
「好きだ、フェイ。僕は君が好きなんだ」
スキ? クレインさまが、フェイを。好、き?
顔を見たい。クレインさまはどんな顔してそんなこと言ったの? でも、相変わらず抱く腕はキツくって身動きできない。
――フェイは? クレインさまをどう想ってる?
優しい人。王子様みたいな人。凛々しい人。命を懸けて弱者を守ろうとする人。フェイに笑いかけてくれる人。フェイを心配してくれる人。
フェイは、クレインさまが、好き。
スナオに言えばほんの少しのハッピーエンド。でもパパは絶対許さない。フェイのことも、クレインさまのことも。あそこでパパを受け入れた時点で、わたしはパパのお人形さんになる契約書にサインしてしまった。
ダメって言わなくちゃ。ゴメンナサイ無理ですって。でなきゃクレインさまがパパに何されるか分からない。フェイなんかを好きって言ってくれた優しい人を、フェイのせいでキズつけちゃダメだよ。
だから、早く言って。早く。なのに。
何でわたしの口、震えるばっかりで動いてくれないの。
だって、言えない。ウソでも、好きじゃない、なんて言えないよ。言えないくらい、いつのまにか、こんなにも。わたし、クレインさまのこと――
「フェイ……フェイリオ、泣かないで」
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