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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 泣き紫
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ただけだろう。こんないびつな愛憎は理解できまい。
いや、理解できなくていい。君はこんなもの知らずに大人になってくれ。
「ヴィクトルさん」
「ローエン……すまない、短気を起こした」
危うく貴方の主人を斬り捨ててしまうところだった。逃げてくれて助かった。激情に任せてクレインを葬ってしまったら、革命そのものが瓦解する。こうしてア・ジュールに来た意味さえなくなってしまう。
剣をフィールドから引き抜き、双剣を鞘に納めた。
“愛してた――――愛してるわ、今でも、これからも、ずっと”
私を殺す時のフェイは「娘」として言った。頭では分かっていても、納得しなければならない理由などない。
目の色さえ変わり切れば、あれは「私のラル」になる。ならば抱き止める腕は私のものが最もふさわしいはずだろう?
だからクレイン、しばらくはお前にフェイリオを委ねてやってもいい。
その代わり、フェイリオの瞳にラルと「エル」が帰って来た時は、容赦はしない、どんな手段を使ってでもフェイリオは返してもらう。
/Fay
クレインさまに手を引かれて、空中闘技場からホールまでの階段を駆け下りた。
「はっ…はっ…!」
「正直っ…上手く行くとは、思わなかったっ。いつも攻撃系の精霊術は、はぁっ、失敗しててね」
「で、でも、あれじゃパパは」
「僕程度の精霊術でやられる人じゃない。大丈夫だよ。――怖かったね、フェイ。もう大丈夫」
首を思いっきり横に振る。コワイなんて思ってない。驚いたけど、気持ち悪いわけじゃなかった。
「……だった、の」
「え?」
「ハジメテだったの!」
クレインさまがようやく停まってくれた。と思ったら、周りを見回して、フェイを階段の陰に連れ込んだ。
「……初めてって、何が?」
クレインさまが恐る恐るフェイを問い質す。
両肩を掴んだクレインさまの両手、熱い。たくさん戦ったから。パパと、フェイのせいで。
「パパが、パパがわたしの目をあんなにまっすぐ見てくれたのも。よくできた、なんて優しい言葉をくれたのも。フェイ、って呼んでくれたのも」
拒むなんてできなかった。父娘でキスするのがイケナイコトって分かってる。でも。
「また…っフェイ、ぶたれて、ほっとかれるかもしれない。せっかく、…っく、せっかく、優しくしてもらえたのに……そんなのヤダ…ヤダぁ…っ」
フラッシュバック。湖面を照らすまぶしい三日月。水の冷たさ。酸素が吸えなくて水をたくさん飲みながら、暗い底に沈んで行った。花が欲しいなんてお姉ちゃんに言ってしまったばっかりに。パパに殴られた。痛くて、びっくりして、こわくて。何度も謝ったのに。味がするごはん食べたかった、お姉ちゃんと同じベッ
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