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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 目の色が変わる話
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んで肩に回させれば、あっさり密着する体。乱暴に引き摺ったせいで剥き出しの肩がさらに露出し、ひどく扇情的なラインが露わとなった。

 フェイリオの背中へ回した腕で後頭部を掴んで、困惑するフェイリオの唇を奪った。
 何てことだろう。唇の感触、舌の熱さまでラルと同じだなんて。

 唇を離す。フェイリオは自分に何が起きたか分かっていない様子だった。

「……え?」

 フェイリオは唇を押さえ何度も私の顔を見ては俯く、という動作をくり返した。
 一度ではさすがに全て伝達しきるのは無理だったか。なら、二度でも三度でも、何度でも。
 もう一度、フェイリオの頬を固定し、二度目のキスを奪おうという時だった。


「何をしてるんです、ヴィクトルさん!」


 フェイリオを一端離して無粋な闖入者を見据える。

「クレイン――」
「彼女はあなたの実の娘でしょう! それを、あんな」
「あんな、何だ?」

 笑わせる。邪魔をするな、色恋も知らぬ若造が。
 フェイリオは私のモノだ。いずれ〈俺〉にくれてやらねばならなかったエルと違って、誰にやる理由もない、私が自由にしていい娘だ。

 父娘だろうがもう関係ない。背徳でも恥知らずでも好きに罵ればいい。
 これだけは誰にも渡さない。

「あっ」

 フェイリオを再び引き寄せて口づける。薄目に、クレインが怒りに染まるのが見える。絵に描いたような聖人君子が嫉妬に怒り狂ってる。何て痛快な気分だ。

「彼女を――」

 フェイリオを離して腕に抱く。クレインと目を合わせない位置で。お前の目は他の男なんて映さなくていいんだ。

「――離せッ!!」

 クレインがレイピアを抜いてこちらに走ってくる。どこまでも無粋な。
 フェイリオを一度横に突き飛ばして、双剣を抜く。大上段から勢いだけで振り下ろされる、クレインの剣閃。


 ギィ…ィン!!


「どうした? その程度の腕で私に敵うと思ったのか?」
「ぐっ…!」

 確かにいい太刀筋だったが、いかんせん軽い。実戦を知って間もない、若い剣。そんな剣を私が受け止められないわけがない。

 クレインが剣を弾いて下がった。そしてまたレイピアを構え直す。
 まだやる気か。面白い。貴族育ちの若造が、どこまで耐えられるか見せてもらおうか!




/Fay

 何で? 今目の前で起きてるコト、ワケ分かんない。何でパパとクレインさまが争ってるの? 何で剣を交えてるの?

 闘技場に鳴り渡る鋼のぶつかり合い。大好きな二人のとてもコワイ顔。どっちも一太刀一太刀がお互いをコロそうとしてる。

 やめて、やめて。何で。やめてよ。ヤダ。フェイ、こんなのヤダ!

「あなたのフェイさんへの態度は父娘としての度を超
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