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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十話 そしてサナギは蝶になる
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スラさんに会ってもいいですか?」
「ああ、もちろん」
「いいってさ、エリー」

 どきどき、してきた。でも、だいじょうぶ。こわくない。「ティポ」がいなくなっちゃったあの時に比べれば、こんなのコワイ内に入らない。

 部屋に入ると、ベッドでイスラさんが横になってた。

「イスラさん」
「! エリーゼ!? よかった、ケガは……、っ!」

 起き上がろうとして、できなかったみたい。――あの時のメイス、あんなにおっきい槍で、思いっきりイスラさんを斬ってたもの。

 何から話せばいいかな……

「イスラさんは、いつからわたしに悪いことしたって思うようになったんですか?」

 わたしが死んでって言ったら本当に死のうとしたくらいに思うようになったのは、どうして?

「つい最近。婚約者にメイスが、わたしの過去、洗いざらい話しちゃってね。それまではあなたや、今まで売った子供たちが自分と同じだなんて考えなかった。ただの商品、そう見てた」
「そう…ですか」
『サイテー! サイアク! そのせいでエリーゼはずーっと独りぼっちで辛い目ばっかりだったのに!』
「……ごめんなさい。言い訳はしないわ」


“イイ子をやめて本音を曝け出してイスラに憎しみを叫ぶか。はたまた”


「どんなに謝られたって、わたしがひとりぼっちなことは変わりません。お父さんにもお母さんにも、もう会えない……」
『みんなみーんなイスラのせいなんだから!』
「ごめんなさい……」

 イスラさんははっとしたように、ベッドに片手を突いて身を乗り出した。

「今はもう、商品だなんて思わないわっ。好きな人に人間らしく扱ってもらって、ようやく気づいた。自分がどれだけ残酷なことをしてきたのか。どんなに祈ったって、私がしてきた行いがなくならないってことも」

 この人の言ってること、ウソじゃない。わかりたくないのに。ウソだって思って責めたいのに。何で、わかっちゃうんだろ。

「あなたがいないと、アルヴィンのお母さんの看病ができなくなるって聞きました。あの人、メイスって人から」
「……ええ。レティシャさんを安定させる薬はアルクノアでないと作れないし、処方できるのは私だけなの。だからアルは、私がレティシャさんから離れないように……いえ。これは言っちゃだめね。彼もお母さんのために必死だったんだから」
「お医者さんなら、昔売った子なんかにかまけてないで、きちんと患者さんの面倒を見てあげてください」

 イスラさんは信じられないものを見る目でわたしを見上げた。そ、そんな目で見ないでくださいっ。えいっ、ティポお面!

『後ろばっか向いてんじゃないぞ! もしアルヴィンのお母さんに何かあった時、エリーゼたちを言い訳に使ったら、ぼくもエリーゼも一生イスラを許さない
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