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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十話 そしてサナギは蝶になる
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いが、頼む。娘っ子を、これ以上、一人にせんでやってくれ」



/Elise

 街に戻るまでは、ファンテイルっていう魔物に、イバルと相乗りしました。イバルは魔物に言うことを聞かせる才能があるんだって、ヴィクトル言ってました。

 お父さんにもお母さんにも、ティポにも、もう会えないのに。どうしてわたし、一滴の涙も出ないんでしょう。

 シャン・ドゥに入ると、すぐ近くの塀にフェイが座ってた。
 フェイはわたしたちに気づくと笑顔になったけど、すぐ暗い顔した。何かあったってことは伝わったみたい。

「オツカレサマ、エリー。がんばったね」

 フェイがとことこ、わたしの前まで来て、屈んでわたしをぎゅってした。言いたいこと、いっぱいあるのに、声にならない。

『アルヴィンはいないの?』

 アルヴィンだけはわたしとメイスを追って来なかった。ひょっとしたらメイスがわたしを連れてくことも最初から知ってたのかもしれない。

「お母さんのそば、離れられないって。こんなに近くにいるのに、自分がいない間に何かあったら悔やんでも悔やみきれないからって」

 アルヴィンのお母さん、レティシャさん。レティシャさんのお世話はメイスとイスラさんにしかできない――

『フェイ。イスラはどうなったの?』
「キタル族のお医者さんに手当てしてもらって、今は休んでる。会いたい?」
「会いたいっていうか……」『気になるよねー』
「じゃあ、イスラさんのとこ、行く?」
「フェイリオ」
「ダイジョウブ。エリー、強い子。フェイ知ってる」


“イイ子をやめて本音を曝け出してイスラに憎しみを叫ぶか。はたまたイイ子を続けてイスラをも許す聖人となり、この先の人生を多くの人に可愛がられる清純派愛され系マリオネットとして生きていくか”


 メイスが言ってたの、こういうことだったんですね。
 わたしには、ただそれだけしかないんですね。

「連れてってください」『イスラを怒るか許すか決めなくちゃいけないから』

 フェイはわたしに手を差し出した。手を伸ばす。手を繋ぐ。

「エリーゼ、我々も一緒に」
「へいき、です。フェイがいますから」



 フェイと手を繋いで、わたしたちが泊まってるお宿よりもっと低い層へ降りた。上の層の橋の数だけ影のある石の道を歩く。

 フェイは石に埋め込まれたみたいな一つのドアの前で止まって、ドアを開けた。中は、わたしたちが泊まってるとことあんまり変わらない、普通のお宿。

 階段は登らないで、1階の客室へ行く。それからまた、フェイがドアの一つを叩いた。
 ドアが開いた。出て来たのは、後ろ髪にセルリアンブルーの羽根飾りを着けた、日焼けした男の人。

「君たちは……」
「ユルゲンスさん。イ
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