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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十話 そしてサナギは蝶になる
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……」
『ちがうよー。ぼくはエリーゼのトモダチにはなれないよー。ぼくはエリーゼのココロに反応して、エリーゼが考えてるコトだけしか言えないんだから』
「! ち、ちがいます! ティポは…わたしは…!」
『
増霊極
(
ブースター
)
とトモダチなんて、エリーゼってオカシイよねー。アハハハハハッ』
エリーゼは泣くことも反論することもなかった。ただ――若草色の目を、深い深い絶望の色に染めた。12歳の少女がするには、あまりにも残酷な色。
エリーゼは私から離れると、イバルの前まで行ってごく自然な動作でティポを取って、いつものように胸に抱えた。
「とりあえず、一度街に戻りましょう」
無言で肯くエリーゼに、どんな言葉をかけてやれというんだ。
岩孔の外へ出た途端、すぐ前に大きな何かが飛び降りた。何か、はシルヴァウルフを従えたジャオだった。
「すまなかったな。密猟者を追って……お前さんたちがどうして」
腕の後ろにエリーゼを庇った。一度は強硬手段に出てエリーゼを取り戻そうとしたジャオだ。また同じことをされては堪らない。
だが、ジャオは戦う姿勢を見せず、ただ憐れむようにエリーゼを見つめただけだった。
「娘っ子。とうとうこの場所に来てしまったのじゃな。覚えておるのだろう」
エリーゼは切なく、されどしっかりと肯いた。
「わたし、ここで――育ったんです」
「以前、侵入者を許してしまっての。その時この場所は放棄されたのだ」
「ここで一体何をしていたのだ! こいつのような幼子を使ってまで、何を!」
ジャオは答えない。一応は国家機密だから、
四象刃
(
フォーヴ
)
のジャオが答えるわけないか。仕方ない。
「
増霊極
(
ブースター
)
の開発だ。
霊力野
(
ゲート
)
から分泌されるマナを増大させる装置。ティポもそれだ。エリーゼはその被験者だった。――間違いはあるか?」
「思い、出しました」
エリーゼが崖の突端近くに立ち、首を上に傾ける。
「わたし、ここで、おっきいおじさんに肩車してもらって…おじさんが、お父さんとお母さんにはもう会えないって…わたし、何のことか分からなくて、おじさんのヒゲを伝って落ちる涙を、ぼんやり、見てた…っ」
エリーゼの両目からほとほとと涙が溢れ落ちる。さっき泣きじゃくっていた時とは異なる。激情ではなく、駄々ではなく、ただ死んだ親を悼んで流される涙。
『教えて、おっきいおじさん。エリーゼが独りぼっちになったのはどうして? お父さんとお母さんに会えなくなったのはどうして?』
「……お前の両親は……お前が4つの時、野盗に遭い……殺されたのじゃ。遺されたお前は、売人に連れられて研究所に来た」
「その売人がイスラさんだったのですね――」
「ワシが言えた義理ではな
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