空白期 第16話 「気づいた想い」
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
時が経つのは早いもので、あっという間に春が過ぎ日に日に夏らしくなってきている今日この頃。私は13時にしている待ち合わせに向けて準備をしている。今はどの服を着ていくか考えているのだが、全く決められないでいた。
「うーん……無難に黒とかがいいかな」
黒のシャツを手に取って体に合わせる。鏡に映っている自分は、なのは達に聞けば「フェイトちゃんらしい格好」とでも言われそうな感じだ。
「こういうのが無難といえば無難だよね。でも最近は温かくなってきてるし……」
今日の予定は、リンディさんやクロノへのプレゼントを買うことだ。
ジュエルシードを巡る事件で、私は母であるプレシアを失ってしまった。それに思うところがないわけじゃないけど、少なからず立ち止まらずに前に進めていると思う。もちろん、これはなのは達や面倒を見てくれているリンディさん達のおかげだ。今回の買い物はこれに関わってくるところがある。
私は、去年の終わりにリンディさんから養子にならないかという話をされていた。闇の書を巡る事件などでバタバタしてしまって返事をするのが遅れてしまったけど、私は彼女の子供になることを決め、現在はフェイト・T・ハラオウンになっている。
――リンディさんじゃなくてお母さんって呼ぶべきなんだろうけど……今までリンディさんって呼んでたから恥ずかしい。クロノも私のお兄ちゃんになったわけだから……嬉しくないわけじゃないけど、まだ慣れないなぁ。
「……って、考えてないで早く決めないと」
もうこのコーディネートにしてしまおうか……でも、もっと涼しげな格好のほうがいい気もする。黒だと熱くなりやすいし、色々なお店を見て回りそうだから汗を掻きそう。一緒に行く相手は、別に気にしなさそうだけど個人的に汗臭いとか思われたくない。
「白とか……水色とかの方が涼しい感じがするかな? でも見慣れてる感じのほうが変に思われることも少ないだろうし……だけど汗が」
鏡の前で迷走していると、扉を叩く音が聞こえた。今日はリンディさんやクロノはお仕事なので、必然的に私の部屋を訪ねてきたのはアルフしかいない。返事をすると、ラフな格好をした彼女が部屋の中に入ってきた。
「フェイト、ちょっと買い物に行くけど何か欲しいものとかある?」
「うーん……特にないかな」
「そう……にしても、確か出かけるのは午後からって言ってたよね。それにずいぶんと悩んでるみたいだし……今日はどこに出かけるんだい?」
「それは……特に決めてないかな。色んなお店を見て回るだろうから」
「そうなんだ。……あれ? ところで誰と出かけるんだい? 確か今日ってなのは達は任務だったよね? アリサ達かい?」
「ううん、アリサ達じゃないよ。今日はショウと出かけるんだ」
「ショウと? ……ちなみにどっ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ