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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十九話 “For Elise”
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と、アルヴィンがぜんぜん気取らない感じで「よ」ってわたしたちに向けて手を挙げた。
「アルっ。あなた、どういうつもりでエリーゼをここに」
「どういう? 自分がしようとしたことが何かを理解してもらうために決まってんだろ」
い、痛い! 肩掴まないで! 無理に向きを変えられた。
「よーく見ろ。あそこのベッドにいんのが、おたくが俺から奪おうとした俺の母親だ」
こけた頬。生気のない目。それでもきっと、元気な時は上品そうな人なんだなって分かる、そんな女の人。
ベッドの横にはフェイと同い年くらいの女の子。ま、魔女? 今どき伝統的な
魔女
(
ウィッチ
)
コスプレですか? ニ・アケリアでもそういう人いませんでしたよ。
「ええ。近所の人にお願いしてきたし。それにバランもそろそろ一人で家にいても大丈夫な歳よ。姉さんは心配性ね」
「そりゃあバランは可愛い甥っ子だもの」
「ふふ。姉さんがそう思うのと同じで、私にとってもアルフレドは大事な甥っ子なのよ。ねえ、アルフレド」
アルヴィンがいつもの肩をすくめるポーズ。え、アルフレドって、アルヴィンのことですか。
「アルフレドが帰ってるの?」
「ええ。恥ずかしがって近くに来てくれないけれど」
「あらあら。じゃあピーチパイを焼かなくちゃね」
「姉さんは寝ててちょうだい。前に焼いたのがあるでしょう。取って置いたの。私が出すから。大丈夫。冷えてたって姉さんのピーチパイは絶品だもの」
すらすら話しながら流れた目線は、わたしたちのほうへ。
「あ、イスラ。用事終わったの? じゃあ交替ね」
灯りのスイッチみたいにカチンって。そのヒトは演技をやめた。
「どうしたの? イスラ。交替」
イスラさんはわたしとレティシャ、さん? を見比べてから、ベッドのほうへ行った。代わりに来たのは、魔女コスプレの女の子。
「ハジメマシテ、エリーゼ。ワタシは――メイス。とりあえずそう呼ばれてる。ラ・シュガルはジランド参謀副長の私的な使い走り」
あれ? ここってア・ジュールですよね。ヴィクトル、ラ・シュガルとア・ジュールが戦争になるかもって言ってました。なのに、この人。
「別に国同士が仲悪いからって人が行き来しちゃいけないってルールはない」
そ、その通りですけど。戦争になるかもって言われてる中で、平然とそれを実行できるこの人の神経って……
メイスがアルヴィンを見上げた。ちょっとだけのアイコンタクト。それからメイスがわたしに向き直った。
「――エリーゼ。ちょっと乱暴な散歩いこっか」
がし。メイスはわたしの腰に腕を回して、窓から飛び降りた。
「え? ――っきゃあああああ!!」
『落ちる落ちる落ちる〜〜〜〜!』
「メイス、何を! エリー
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