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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十八話 ある女医の贖罪
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ら、笑って部屋を出てった。

『エリー! イスラなんかの言うこと聞いてやる必要なんてないよー!』
「こら、ティポ。だめでしょ。決めるのはエリーなんだから」

 行く? 行かない? 行く? 行かない?

「……行きます」

 コートを取って抱き締める。

 イスラさんのためじゃない。イスラさんのためじゃない。わたしはわたしの家を、ルーツを知りたいから行くの。

「一緒に行こうか?」
「ううん。わたし、一人で行きます」
『エリーは強い子!』
「ホントだね。エリー、がんばれっ」

 はい。行ってきます。




 コートを着込んで、ティポを抱えて宿を出た。アルヴィンの言った通り、イスラさんは宿からすぐの橋の上で、コートを着てぼんやり立ってた。

 名前を呼ぶの、何だかイヤだったから、気づいてくれるくらい近くまで歩み寄った。

「! エリーゼ……来てくれたの」

 誘ったのはそっちじゃないですか。早く連れてってください。

「付いて来て」

 来た時とは別の街の出入口を潜り抜けたら、一面が銀世界だった。

「わあ…!」
『すごーい! 雪いっぱーい!』
「滑りやすくなってるから、足元気をつけてね」

 それからどのくらい歩いたでしょう。イスラさんはいろいろ話しかけてきた。無視するのもなんだかできなくて、言葉少なに答えた。おっきいおじさんのこと。ヴィクトルやみんなのこと――

 その内、イスラさんは洞窟に入った。この先、ってこと?

 うす暗い洞窟の中を手探りで進んでると、イスラさんが火の精霊術で小さな灯りを作ってくれた。ありがとう、って、言わなきゃだめかな?

 悩んでる内に洞窟が終わった。

 外に出て、すぐにわかった。そこには家が一つだけしか建ってなかったから。
 ちっちゃなお家。ニ・アケリアで暮らした家より、ううん、ハ・ミルの小屋よりも小さいかもしれない。

「ここ、ですか?」
「そう。最初はレアメタルでもないかと思って入ったのに、家があって人が住んでて、びっくりしたわ」

 ……ちょっとだけ、思い出す。しょりしょりしたおヒゲ。そうだ、お父さんはヒゲが生えてた。それで、わたしを背負いながら薪割りして、注意されてたっけ……お母さん、に? あれ?

「どうしたの? 具合が悪いの?」

 イスラさんの手が、わたしに伸び……


 ――フラッシュバック。泣いてたわたしに伸びて来る手。掴まれて、乱暴に引っ張ってかれて――


「いやっ!!」

 手を振り解いて、背中を向けた。

『エリーに触るなー!』
「あ……ご、ごめん、なさい」

 忘れるとこだった。この人は小さかったわたしを売った人。そのせいでわたしは、わたしは。

「――イ
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