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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十七話 ある女医の告白
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「アルヴィンは祖国エレンピオスに帰るための組織に属している。それがアルクノアだ。エレンピオス人は精霊術が使えない。だから頼みの綱は黒匣であり算譜法(ジンテクス)になる」
「待て! その技術は世界からマナを失わせ、精霊様の糧を奪う技術のはずだ」

 よく覚えていたな、イバル。その通り。精霊を犠牲にすることを前提に、エレンピオス人は今日も生き繋いでいる。

「……俺たちはただ、故郷に帰りたいだけなんだよ」
「そんな手前勝手な理由で精霊様を殺す道具を使い続けたのか!?」
「じゃあお前、生活するのに精霊術使うたびに、その術は異端だつって兵隊が自分を殺しに来たらどう思う! 理不尽だって思わねえでいられんのか!?」

 全くもってその通りだ。エレンピオス人にはエレンピオス人なりの基準や機能があるんだ。ただ文化的生活を営んだだけで殺されていては堪らない。

「周りは訳分かんねえまじない使う連中ばっか。黒匣がなきゃ生活だってできねえってのに、黒匣を使えばマクスウェルに襲われる。俺ら元々1000人はいたんだぜ? 兵士でも何でもねえ、ただの旅行客だ。それが今や100人いるかいないかだ。みーんなマクスウェルが殺したんだ。尊敬してた人も、友達も、ぜんっぶマクスウェルに殺されたんだ」

 蒼然とするイバルの胸に、まるで銃口のように、アルヴィンは人差し指を押しつけた。

「俺らにとってな、おたくの敬愛するマクスウェルサマこそ、ナハティガル以上の独裁者なんだよ」




 こんこん

 ノックの音が、部屋の中の気まずい空気を払拭するきっかけになった。

「はいよー」

 一番ドアに近い位置にいたアルヴィンが、立ってドアを開けた。

「イスラ」
「話を……しに来たわ。中に入れて」
「おたく、見ない内にとんでもねえ勇者になったな。入れよ」

 さっきの女医? アルヴィンの母親の主治医だから顔見知りなのは分かるが、話をするならアルヴィンにだけすればいいのに。何が目的だ。

 アルヴィンがクローゼットからイスを引っ張り出して、イスラの席を作った。
 イスラが座って、まっすぐ見据えたのは、エリーゼ。

「あなた、私とはどういう知り合いなのかって聞いたわね」
「は、はいっ。教えてください」
「私は……あなたを売ったの」
「――え?」
「4歳の時に両親を亡くして泣いていたあなたを見つけて、国の研究所にあなたを連れて行って、研究体として売った。それが私とあなたの関係よ」


/Elise

 “4歳の時に両親を亡くして……”
 “国の研究所に売った”

 お父さんとお母さんが、もう死んでる? わたしが、研究体?

「私も小さい頃に親を亡くして、一人で生きていけるほど大人じゃなかった。それで始めたの
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