第5話「メールに絵文字がないと怒ってるみたいに見える」
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“グガアアアアアアアア!!”
二匹の神獣が少女に迫る。
助けようにも距離がありすぎて、銀子たちは見ていることしかできない。
少女の手には大鎌。だが間近過ぎて、回避も反撃も間に合わないだろう。
結末は目に見えており、誰もがそうなると疑わなかった。
だが――
【え?】
神獣たちの拳が少女に直撃する瞬間――消えた。
『シュ』
擬音語で表現するならこの言葉が最適だ。
閃光も爆発も何も起こらないまま、神獣アクロスガーズは粉々になって空中へ消えた。
一体何が起きたのか、さっぱり分からない。肝心の少女は何事もなかったようにただ微笑んでいるだけ。銀子たちはしばし沈黙するしかなかった。
【今どうなった?】
呆然とする銀子から疑問がもれる。
【消えた…(神獣アクロスガーズ×2は少女を襲う寸前、塵と化して空中へと消え去った。だが少女は何事もなかったかの様に微笑んでいるだけだった)】
【()で地の文リピートすんなァァァ!いらねーんだよ!!】
ぱっつぁんのツッコミが炸裂する隣で、銀子は先ほどの光景を思い出す。
どんな攻撃をしたのか不明だが、少女が只者でないことは確かだ。
【とんでもなく強ぇハンターっぽいな。おい誰か勧誘しろ】
【私が話しかけてくるヨ】
【馬鹿ァ!!おめーみてェなゴッツいおっさんが行ったらドン引きされんだろォが!!】
慌ててカグーラを連れ戻し、銀子は地味メガネに目を向ける。
【よし。ぱっつぁん、おめー行け】
【え?僕!?】
【おめーが見た目一番平凡で勧誘し易い。あんな可愛いキャラだ。大丈夫だって。頼む、300円あげるから】
百円三枚だけもらっても正直困るが、カグーラは見た目からNGでフルーツポンチ侍Gもとい桂は余計話をややこしくするだけだ。
この場合、平凡な容姿の方が変な先入観もなく勧誘しやすいのかもしれない。
ぱっつぁんは銀子の頼みに頷いて少女の元へ向かう。
近寄ってみると、身長は銀子たちの半分にも満たない小柄な幼女だった。
だが手に握られてるのは、持ち主を遥かに超える長さの大鎌。
あまりのサイズ差に違和感を抱きながらも、ぱっつぁんは人の良さそうに声をかけた。
【あのー初めまして。僕ぱっつぁんです。あなたは?】
大きな瞳と朱色に染まった頬。踊り子のような服装の腰に巻かれた大きなリボン。
キュンとなるほど可愛い外見だが、それは集会場や今まで出会ったハンターと全く共通点がない。むしろこの世界観と明らかに場違いな容姿である。
別ジャンルのゲームを思わせるような姿の少女は、愛らしい表情で名乗った。
【螺鬼ちゃんで〜す♪】
まるで暴走族みたいな名前表記は、キュートな容姿とかなりミスマッチしている。その激しい《ギャップ(差)》に戸惑いながらも、
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