暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(T) 〜白き少女の思惑〜
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「フェンサー、退くぞ。ここでコイツの相手なんざしてられない」
「なら先に逃げてちょうだい。どちらにしろ、バーサーカーは足止めしなきゃならない」

 魔術回路を全て開き、フェンサーへの提供魔力を共振させて倍加させる。

 筋力、耐久、敏捷に類するステータスを底上げする。
 ほとんどの能力がAランクに届くバーサーカーを相手取るには、生半可な状態では太刀打ちできない。

 今出来るのは過剰とも言える魔力供給のみ。

 ここから俺は少なくともバーサーカーの接敵距離圏外、イリヤの探知を逃れられる場所か手段を確保しなければならない。
 それまでどのくらいの時間がかかるかは分からないが、フェンサーに一人で時間を稼いでもらわなければならないのだ。

 相棒を置いていくのは気が引けるが、ここに俺が居ても役に立てるとは思えない。

「来るわよ、マスター!」

 吶喊する狂戦士のサーヴァント。
 その突進ですらまともに受ければ無事では済まないだろうが、その勢いを乗せて振るわれる岩塊のような斧。

 それを真っ向から弾き返す白銀の聖剣。

 響き渡る剣戟の音を背に、振り返ることはせず、俺はバーサーカーとは逆方向に駆け出した──────















──────────Interlude In──────────





「ッ……!!」

 マスターの走り去る足音を聞きながら、正面から覆い被さるように突進してきた巨人の剣戟を受け流す。
 
 意識を全身に集中する。ギシリ、と軋みが聞こえそうなほど筋肉が張り詰める。

 剛体技能(スキル)の発動。魔術効果ではなく、この肉体に備わる増幅機能。
 そもそもこの身は真っ当な人間とは違う。被造物として生まれたが故に、人ならざる部分が多くある。

 そのまま二撃、三撃、四撃と続く轟風剣斧。
 真横から薙ぎ払われる五撃目を、擬似的な魔力放出を伴う最大膂力による一振りで完全に弾き返した。



 実を言えば、私のサーヴァントとしての肉体準拠の性能は高い。

 基本性能は英霊として平均以上と自負できるものだ。
 さらに今は主たる黒守黎慈の魔術特性による、魔力の共振増幅による過剰供給(オーバードーズ)
 加えて通常では有り得ないほどの膨大な魔力を魔術ではなく、肉体のブーストに惜しみなく使用。

 身体強化、共振増幅、擬似魔力放出。
 既に解放している聖剣に宿る概念、神速の加護。

 しかしここまでの強化がありながら、なおバーサーカーには一歩及ばない。

 本来この英霊は世界的に見ても、知らぬ者のないほどの大英雄・ヘラクレス。

 よく知っている。まだ覚えている。
 今回の聖杯戦争において
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