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一週間
第八章

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第八章

「楽しみましょう、二人で」
「一人でいるよりいいのか?」
「いいわよ、当たり前でしょ」
 それは当然だというのだ。少し憮然とした顔のままだったがそれでも彼女は言うのだった。
「それは」
「まあ一人でいるより二人かよ」
「そういうことよ。じゃあまずは中華街ね」
「ああ」
 とにかくまずは食べることにするのだった。何につけてもだ。
「そこに行ってね。ラーメンと点心食べましょう」
「熱いのは駄目だけれどな」
「だから冷ませばいいでしょう?」
 またその話になった。優里亜の顔が憮然としたものになる。
「それはね」
「わかってるけれどよ、まあ行くか」
「ええ、それじゃあね」
「一週間。何だかんだで」
 健人がここでまた話した。
「楽しいか?」
「楽しいことは確かよ」
 それはすぐに認める優里亜だった。
「それはね」
「じゃあいいんじゃないか?正直どう過ごそうか困ってただろ」
「まあね。お休み取ったのはいいけれどね」
「時間を持て余すのもよくないしな」
「確かにね」
 そのことには賛成した。言われるまでもなくだ。彼女にしてもそうした時間の過ごし方はあまり好きではない。最初の三日は何とかそれをしないように苦労したのである。
 そうして今は彼と一緒にいて。それで話すのだった。
「なあ」
「何?」
「俺時間見てアパート引き払うな」
「同居するってこと?」
「そっちの方がいいだろ」
 こう言うのだった。
「二人で暮らした方が退屈じゃないだろ」
「まあね。他にも何かと助かるし」
「それじゃあそれでいいな。一緒にな」
「ええ、じゃあ一緒にね」
「住もうぜ。これで休みになってもあれこれ考えなくてもいいだろ」
「そうね。少しはね」
 こんな話をしながら横浜に向かう二人だった。そして横浜でその二人で楽しい時間を過ごすのであった。一週間の後半はそれまでとは違っていた。やはり二人だからであった。
 その二人きりの時間を過ごした後で家に帰った。家の扉まで健人に送ってもらってだ。家に帰ったその時はもう夕方になっていた。
「ふう」
 部屋に入ってまずは大きく息を吐き出してそうしてシャワーを浴びて寝る時のジャージになってである。そうして夕食にカップうどんを食べてまたゲームをする。その顔はにこにことしていた。
「じゃあまた明日から」
 ゲームをしながら言う。
「お仕事もあいつとのことも頑張るか」
 何だかんだで充実した一週間であった。優里亜は満ち足りた顔でこれからの生活に戻るのであった。充実した一週間をすごした後で。


一週間   完


               2009・12・22

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