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SAO−銀ノ月−
第七十一話
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「キリトの妹、ってこの前言ってた……?」

 リズの問い掛けにコクリと答える。リーファ……いや、直葉のあの様子は、顔や名前を隠したネットゲームで、偶然家族に会ってしまった気恥ずかしさなどではなかった。もっと重大で当人にしか分からない、立ち入ってはいけない領分の問題のような……

「……キリトさん! 直葉ちゃんに何したんですか!」

 まだ理解が追いつかないキリトに対し、激昂したレコンが掴みかかる。この世界樹まで行動を共にしてきたが、レコンが見せる初めての怒りの感情だった。放っておいてはキリトに殴りかからんとする勢いの、普段とは似ても似つかぬレコンに少し圧倒されてしまうが、何とか大事にならないうちに間に入ることに成功する。

「落ち着けレコン。お前、ま……で……?」

 ドクン、と一つ鼓動が鳴る。すると、みるみるうちに央都《アルン》の景色が俺の視界から遠ざかっていき、スイッチが切れたかのように全てが暗闇に包まれていく。

「……ョ……キ……!」

 遠くからリズの声が途切れ途切れに響くが、その声に反応するどころか身体がどこも動かない。……俺はこの現象を一度体験したことがある。このアルヴヘイムでの出来事ではなく、アインクラッドのことだった。それは後から、SAO対策室が総力をあげて行った病院への搬送だった、ということを聞いた。

 ――強制ログアウト。

 そこまで考えて、俺の意識はこの世界から消えていった。

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