第七十一話
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。メンテナンスが終わってすぐだからか、NPCばかりでプレイヤーの姿は見えず、いるPCと言えば――
「…………」
――泣き顔のリーファと、それを慰めるようにしているキリトだけだった。緑色と黒色の妖精は、ロビーに入って来ていた俺に気づくと、素早くオーバーアクションでお互いの距離を離す。
「よ、よぉショウキ。遅いぞ」
「ね、ねぇ。せっかく《世界樹》まで来たのに、みんな遅いんだから!」
「……ああ」
……リズと病院に行く前の待ち合わせでも言われたが、今日は濡れ衣で遅いと言われる厄日らしい。彼がどうしていたかの事情を詮索しても良かったが、わざわざ地雷を踏む趣味はないので止めておく。挙動不審な二人を半ば無視することにして、リズにレコンが来るまでの暇つぶしにでも、鍛冶屋でも眺めようとすると。
「あ、ショウキ。遅いわよー」
小さなレプラコーンが先客にいた。その小さな身体には不釣り合いな巨大なハンマーを持ち、黒い大剣に短剣、銀色の長剣を手入れをしていた。自分の居場所が奪われたのか、職人NPCが手持ち無沙汰に周辺をウロウロしている。
「あんたの《銀ノ月》も置いときなさいよー……なによ、なんか驚いた顔して」
「いや、小さくているの気づかなかっただけだ」
「……開口一番喧嘩売ってるわけ?」
笑顔のリズから嫌なオーラが噴出されていくので目をそらし、同じく手入れを頼むために日本刀《銀ノ月》を机の上に置く。ふん、と鼻を鳴らしてリズはこちらを一瞥すると、小気味良い音をたてながらハンマーで手入れをする作業に戻る。しかし、その中に先客として短剣があるという事は……
「リーファちゃんリーファちゃん! もうメンテナンスの影響ないみたいだよ!」
……どうやら俺が最後だったらしい。
「じゃ、世界樹の中の情報でも調べてみようか」
全員の武器のメンテナンスが終わり、高い宿泊施設で準備を整えた俺たちは、まずはリーファの先導のもと世界樹へと向かうことにした。キリトの胸ポケットで寝ていたユイも起こすと、一時はキリトの髪の上にいたが、「チクチクして居にくい」とのことで再び胸ポケットから顔を出している。
「調べてみるって……どうやって?」
このALOのラストダンジョンである《世界樹》の中は、守護天使型のモンスターが跋扈しており、そのモンスター達を突破する。一般的に迷宮と言われるようなダンジョンではなく、構造的にはとても単純らしいが……今まで攻略されていないというのだから、言うほど簡単ではないのか。
「そりゃ、実際に行ってみれば早いじゃない」
「……ごもっともで」
あっけらかんと話すリーファに対し、少し脱力してしまうが、言っていることは正論である。シルフとケットシーの援軍が
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